作品賞&監督賞ー「おくりびと」滝田洋二郎監督
- 取材用のビデオをのぞく監督賞の滝田洋二郎監督(撮影・野上伸悟)
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【受賞発表記事】
第21回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が3日、決定し、「おくりびと」が作品賞、同映画の滝田洋二郎監督(53)が監督賞に選ばれ、2冠となった。圧倒的な支持を得ての2冠。滝田洋二郎監督は「びっくりです。ただただ、うれしいだけです。浮かれないようにしないとね」と、にっこりした。
納棺師というなじみのない職業を扱っただけに「作品がどういうふうに受け入れられるか分からなかった」と振り返る。しかし、公開前にはモントリオール世界映画祭でグランプリを受賞するなど言葉や国境を越えた共感を得た。公開から約3カ月たった今も、全国160スクリーン以上で上映しているなど、勢いは止まらない。滝田監督は「誰にでも死は訪れますから。遠いようで身近な物語なんです。自分に置き換えることができる物語は親近感がわくんじゃないでしょうか」と、広く受け入れられた理由を話した。
監督にも今年、親しい人の死があった。故郷の富山が縁で映画界に入るきっかけを作ってくれた人物、そして師匠である向井寛監督が亡くなった。向井監督については「顔をずっと触っていました。1番怖い顔をしていた時と同じいい顔をしていましたね。日常生活では、死というものを遠ざけていますが、怖いものじゃない」。
選考会では、本木雅弘、広末涼子ら役者のほか、山形を写した映像美も絶賛された。冒頭、雪の中を車が行くシーンで引き込まれたという意見も出た。「『こんな雪じゃだめだ』なんて言って、2カ月粘って撮りました。あの道にあの風が吹いた、奇跡の瞬間。僕は富山でカメラマンの浜田(毅)さんは北海道。雪にはうるさいんだ」。映画作りにおけるポリシーを「自分にうそを付かないこと」を真っ先に挙げた滝田監督らしい。【小林千穂】
[2008年12月4日 紙面から]
◆「おくりびと」 小林大悟(本木)は東京でオーケストラのチェロ奏者をしていたが、楽団が解散になり、妻の美香(広末涼子)と故郷の山形に帰る。「旅のお手伝い」という求人広告を見て、旅行会社だと思って就職してみたら、仕事内容は納棺だった。佐々木社長(山崎努)について仕事を始める大悟だが、妻には仕事の内容を言い出せなかった。
◆滝田洋二郎(たきた・ようじろう) 1955年(昭30)12月4日、富山県生まれ。76年、故向井寛監督が主催する獅子プロに助監督として入社、81年監督デビュー。86年「コミック雑誌なんかいらない!」が海外映画祭で高い評価を得る。代表作はほかに「病院へ行こう」「僕らはみんな生きている」「秘密」「壬生義士伝」など。来年は「釣りキチ三平」が公開を控えている。
- 作品賞・選考経過
- 「おくりびと」の圧勝だった。「これほど厳粛感や清潔感のある映画は見たことがない。納棺師という職業は知らなかったが、職業の誇りやプライドをよく表現していた」(櫻井修氏)「よく出来ていた。役者もいいし、景色もきれい。映画の幅や奥行きを感じた」(秋山登氏)。タイの子供の臓器売買を題材にした社会派作品「闇の子供たち」が、次点の評価を得た。
- 監督賞・選考経過
- 滝田洋二郎監督の評価が高かった。「滝田さんは今年、いい映画を作った。『おくりびと』のような映画は、なかなか作れない。長年の功労賞の意味を込めて」(木下博通氏)「滝田監督がふさわしい。全般的に安定感がある。安心して見ていられた」(福島瑞穂氏)。「闇の子供たち」などの阪本順治監督や、「トウキョウソナタ」の黒沢清監督を推す声もあった。
「タイトル」監督 | 記事 | |
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作品賞&監督賞 | 「おくりびと」 滝田洋二郎監督 |
受賞発表記事 |
受賞式記事 | ||
主演男優賞 | 中居正広 「私は貝になりたい」 |
受賞発表記事 |
受賞式記事 | ||
主演女優賞 | 綾瀬はるか 「ICHI」「僕の彼女はサイボーグ」「ハッピーフライト」 |
受賞発表記事 |
受賞式記事 | ||
助演男優賞 | 堺雅人 「クライマーズ・ハイ」「アフタースクール」 |
受賞発表記事 |
受賞式記事 | ||
助演女優賞 | 夏川結衣 「歩いても 歩いても」 |
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新人賞 | 夏帆 「うた魂♪」「東京少女」ほか |
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外国作品賞 | 「ノーカントリー」 パラマウントジャパン、ショウゲート |
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受賞式記事 | ||
石原裕次郎賞 | 「クライマーズ・ハイ」 原田真人監督 |
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受賞式記事 | ||
石原裕次郎新人賞 | 松田翔太 「イキガミ」「花より男子ファイナル」 |
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受賞式記事 | ||
ファン大賞 | 「私は貝になりたい」「レッドクリフ Part1」 | 受賞式記事 |
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