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石原裕次郎新人賞ー高良健吾「ソラニン」ほか

高良建吾
石原裕次郎新人賞に選ばれた高良建吾(撮影・神戸崇利)

【受賞発表記事】

 高良の出演映画が常に上映されているような1年だった。今年の公開作品は初主演映画「おにいちゃんのハナビ」など7本。同映画では難病の妹役の谷村美月と共演し、引きこもりから再生する兄を演じるなど、心に闇を持つ難しい役柄を数多く任された。

 「『自分の演技がそんなにいいかなあ』と思う時もあります。最近は重い役が多くて、精いっぱいでした」。「ソラニン」では音楽の夢を捨てきれないバンドマン、「ボックス!」ではボクシングを始める気弱な優等生、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」では人生を選べずに生きてきた施設育ちの役。それぞれ宮崎あおい、市原隼人、松田翔太らとの共演で高い評価を得た。

 07年「M」の広木隆一監督のアドバイスが、支えになっている。「『健吾の18年間が必要で、お前を選んだんだから、お前がやることは正解だ』と言われた。自分の演技が正しいと納得できて、カメラの前に立つ覚悟ができた」。08年「蛇にピアス」では、顔に15個のピアスをした青年を演じ、一気に知名度を上げた。「今まで避けていたような役に挑戦できたので、大きな意味があった」と振り返った。

 俳優の個人賞は3度目で、今回は裕次郎さんの冠が付いた。「亡くなった後も語り継がれているので、人間的な魅力も卓越した方というイメージです。自分がやってきたことへのごほうびをいただいて、うれしいです」。前々回受賞の松田から表彰盾をもらうことについては「仲がいいので、かなりうれしいです」と目を輝かせた。【柴田寛人】

[2010年12月2日 紙面から]

 ◆高良健吾(こうら・けんご)1987年(昭62)11月12日、熊本県生まれ。高校2年時に俳優を志し、知人の紹介で現在の所属事務所と契約。05年に俳優を始め、06年「ハリヨの夏」で映画初出演。07年「サッドヴァケイション」09年「蟹工船」など映画を中心に活動。公開待機作は「ノルウェイの森」「白夜行」など。小栗旬主演「時計じかけのオレンジ」(来年1月2日初日、東京・赤坂ACTシアター)で初舞台。176センチ。血液型O。書道4段。

 ◆ソラニン OL2年目で会社を辞めた芽衣子(宮崎あおい)と、音楽の夢をあきらめきれないフリーターの種田(高良健吾)は同居中。種田はソラニン(ジャガイモの芽などに含まれる毒の一種)という曲を書き上げ、芽衣子と一緒にレコード会社に持ち込む。浅野いにお氏原作の同名漫画の映画化。三木孝浩監督。

 ◆ボックス! 高校のボクシング部所属の鏑矢(市原隼人)は、天性の素質を生かして活躍。一方、幼なじみの秀才、木樽(高良健吾)は腕力に自信がなかった。自分も鏑矢のように強くなりたいと願い、ボクシング部に入部するが…。百田尚樹氏原作の同名人気小説の映画化。李闘士男監督。

 ◆ケンタとジュンとカヨちゃんの国 孤児院で兄弟のように育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は、ビルの解体現場で働く毎日。過酷な労働環境にいら立ち、カヨちゃん(安藤サクラ)と一緒に、盗んだ車で走りだすが…。大森立嗣監督が脚本も担当。若者の孤独や絶望を硬派な演出でまとめた。

 ◆おにいちゃんのハナビ 須藤太郎(高良健吾)一家は、難病の妹、華(谷村美月)の療養のため、新潟県小千谷市に引っ越す。明るい華とは対照的に、もの静かな太郎。太郎は新生活になじめず、自宅に引きこもるが…。妹を白血病で亡くし、5年間花火を上げ続けた男性の実話を映画化。国本雅広監督。

石原裕次郎新人賞・選考経過
 高良の圧勝だった。「最近は数え切れないぐらいの映画に出ている。裕次郎さんの全盛期をほうふつとさせるし、日本映画を背負って立つ素材だ」(寺脇研氏)。引きこもりなど、難しい役柄を数多くこなしていることも、高く評価された。「RAILWAYS」の三浦貴大を推す声もあった。
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石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞。賞金は各300万円、100万円。




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