主演女優賞−宮崎あおい「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」
- 主演女優賞に輝いた宮崎あおいは「本当にうれしいです」と笑顔を弾けさせた(撮影・浅見桂子)
【受賞発表記事】
宮崎あおい(26)が映画「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」で、日刊スポーツ主演女優賞を初受賞した。両作品とも設定は妻、くしくも同じ名前だったが、対照的な妻役でみせた演技力を評価された。
対象作「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」。偶然にも夫から「ハル」「ハルさん」と同じ名前で呼ばれる妻役だった。
「ツレうつ」の夫役は堺雅人。08年NHK大河ドラマ「篤姫」で夫婦を演じた。気心が知れているため、特に話し合うことはなかった。休憩では2人で椅子を並べ、それぞれ本を読んで過ごすことも多かった。
「おじいちゃんとおばあちゃんの縁側状態(笑い)。信頼関係はもうできているので。丁寧な気持ちのキャッチボールがし合える関係です」
安心感がある中でも、髪形をおだんご頭に変えると、ちゃんとスイッチが入った。役を作り込まないタイプだが、「おだんごにはすごく助けられました」と笑顔で振り返った。
一方、「神様―」で演じたのは医師としての在り方に悩む夫をそっと見守る妻だけに、完全に夫のサポート役に徹した。
「2人は一定の距離感を持っている夫婦だと思うので、その不思議な距離感、世界観にいた気がします。櫻井(翔)君とは公開前の取材時に距離が縮まった気がしますね。終わってからはお友達、です」
撮影終了時に出番はなかったが、現場で櫻井にそっと寄り添った。
どの作品も大変だったことは「ないんです」と言う。「いい思い出しか記憶に残らないんです。私自身が大ざっぱな人間で、わりと『なるようになれ』と思う方。その点ではどちらかというと、『ツレうつ』のハルさんに似ているかもしれませんね。うまく生きていく術というか、嫌だったこと、大変なこともあると思うんですけど、終わると全部忘れちゃうんですよ」
仕事への情熱は「好きという気持ちだけです」とシンプル。主演女優賞受賞の感想も「自分自身もちろんうれしいですけど、周りの人が喜ぶ顔を見られたのがすごくうれしかったです」。1つの作品をみんなで作り上げていくことが好き。そんな宮崎ならではの言葉だった。【近藤由美子】
[2011年12月6日 紙面から]
◆宮崎(みやざき)あおい 1985年(昭60)11月30日、東京都生まれ。4歳でモデル事務所入り。小学5年から本格的に女優デビュー。02年「害虫」で仏ナント3大陸映画祭主演女優賞、日刊スポーツ映画大賞新人賞を受賞。映画は「EUREKA」「NANA」「オカンの嫁入り」など多数。NHK連続テレビ小説「純情きらり」に主演。08年1月放送開始のNHK大河「篤姫」では、大河ドラマ史上最年少主演。163㌢。血液型O。
◆「ツレがうつになりまして。」 売れない漫画家のハルさん(宮崎あおい)は、サラリーマンの夫ツレ(堺雅人)とイグアナと暮らしていた。ある日、仕事をバリバリこなして弁当まで作るツレが「死にたい」とつぶやいた。診断は、うつ病。ハルさんは激務とストレスが原因だと考え、ツレに強硬に退社を勧める。佐々部清監督。
◆「神様のカルテ」 内科医栗原一止(櫻井)は、長野県松本市の本庄病院に勤め5年間、地方医療の厳しさと闘ってきた。写真家の妻榛名(宮崎)が癒やしだが、最先端医療を学びに信濃医大に行き、胆のうがん患者・安曇雪乃(加賀)と出会う。本庄病院に復帰した一止の元に、医大から見放された安曇が訪ねてきた。深川栄洋監督。
- 主演女優賞・選考経過
- 主演女優賞・選考経過 宮崎と「八日目の蟬」の永作博美、井上との三つどもえとなり、決選投票までもつれた。その中で、2作品で現代の妻を巧みに演じた、宮崎が評価された。「宮崎さんは『ツレがうつになりまして。』『神様のカルテ』で、どちらも妻を演じましたが、今風の妻をフッと力の抜けた感じで演じました」(秋山登氏)。また、次代を担うフレッシュさを評価する声もあった。
受賞作品/受賞者 | 記事 | |
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作品賞 | 「一枚のハガキ」 新藤兼人監督 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
監督賞 | 新藤兼人監督 「一枚のハガキ」 |
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主演男優賞 | 松山ケンイチ 「マイ・バック・ページ」「GANTZ」「うさぎドロップ」 「ノルウェイの森」 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
主演女優賞 | 宮崎あおい 「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
助演男優賞 | 西田敏行 「探偵はBARにいる」「はやぶさ/HAYABUSA」 「ステキな金縛り」 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
助演女優賞 | 加賀まりこ 「洋菓子店コアンドル」「神様のカルテ」 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
新人賞 | 井上真央 「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」「八日目の蝉」 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
外国作品賞 | 「英国王のスピーチ」 トム・フーパー監督 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
石原裕次郎賞 | 「探偵はBARにいる」 橋本一監督 |
受賞発表記事 |
授賞式記事 | ||
石原裕次郎新人賞 | 該当者なし | ー |
ー | ||
ファン大賞 | 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」 山崎貴監督 |
授賞式記事 |
- 石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
- 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞。賞金は各300万円、100万円。
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