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新人賞-井上真央「八日目の蝉」「太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-」

新人賞を受賞した井上真央は、笑顔で喜びを語った(撮影・浅見桂子)
新人賞を受賞した井上真央は、笑顔で喜びを語った(撮影・浅見桂子)

 井上真央は、映画初出演から5年と、新人賞の規定ぎりぎりで受賞した。「私ももうすぐ25で、新人賞は半ば諦めかけてたんです」。若手演技派女優と言われてきながら、昨年までは各映画賞とは無縁だった。それだけに「頑張った1年のご褒美みたいで、単純にうれしい。小2のときに人生で初めて見た映画が『男はつらいよ』と『釣りバカ日誌』。スクリーンの中にいた西田敏行さんと一緒の授賞式は、不思議な気分でした」と、はにかんだ。

 受賞の瞬間、思い出したように日記を開いた。「書き初めの元旦のページに『今年は特別な年になるかもしれない…。だから苦手だけど日記を書こうと思う』って書いてあったんです。三日坊主で終わっちゃったんですけど(笑い)」。予感は見事に的中。NHK朝の連続テレビ小説「おひさま」がヒットして、大みそかの紅白歌合戦の紅組司会に抜てきされた。そして、この賞。「まさか1年後に、こんなうれしい悲鳴の忙しい年末を迎えるなんて。さすがに、ここまでは想像していませんでした」。受賞対象2作品はシリアスなもので、スクリーンでは見せることができなかった、太陽のような笑顔が咲いた。

 井上が、3年前の大学の卒論で研究したのは、杉村春子さん(享年91)だ。言わずと知れた、出演映画約100本の伝説の大女優。「記憶にも記録にも残るのが映画。さらにいろんな表現を身に付けて、多くの方を感動させられるようになって、いつかまたここに立てる日が来るように、精進していきます。新人賞を取れたから、主演・助演と完全制覇も可能性はあるってことですもんね」と、再びにっこり。井上が女優を目指したきっかけは、8歳のときに見た「午後の遺言状」。杉村さんが、日刊スポーツ映画大賞主演女優賞を受賞し、この日、一緒に記念写真に納まった新藤監督の作品だ。すべては井上と、つながっている。【瀬津真也】

◆井上真央(いのうえ・まお)1987年(昭62)1月9日、横浜市生まれ。5歳で子役デビューして、99年から「キッズ・ウォー」シリーズに主演。05年からの主演ドラマ「花より男子」で人気に。ドラマは「ファーストキス」「あんみつ姫」などに主演。映画は06年「チェケラッチョ !! 」でデビュー。ほかに「花より男子F」「僕の初恋をキミに捧ぐ」など。主演映画「綱引いちゃった ! 」は来年公開予定。158センチ。

◆八日目の蝉 野々宮希和子(永作博美)は愛人の秋山丈博(田中哲司)の子の中絶を余儀なくされ、秋山の娘恵理菜(井上)を誘拐。薫と名付けて逃亡するが4年後に逮捕される。恵理菜は家に戻るが、母(森口瑶子)とは普通の親子関係に戻れず心を閉ざす。成島出監督。

◆太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男- 太平洋戦争最末期、大場栄大尉(竹野内豊)は、サイパンで生き残った。両親が殺された乳飲み子を助け、生きることへの思いを強めた大場は、堀内一等兵(唐沢寿明)と山に潜んだ。米軍に家族を殺された看護師の青野千恵子(井上)も抵抗を始める。平山英幸監督。

日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞
  受賞作品/受賞者 記事
作品賞 「一枚のハガキ」
  新藤兼人監督
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監督賞   新藤兼人監督
  「一枚のハガキ」
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主演男優賞   松山ケンイチ
「マイ・バック・ページ」「GANTZ」「うさぎドロップ」
「ノルウェイの森」
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主演女優賞   宮崎あおい
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助演男優賞   西田敏行
「探偵はBARにいる」「はやぶさ/HAYABUSA」
「ステキな金縛り」
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助演女優賞   加賀まりこ
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新人賞   井上真央
「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」「八日目の蝉」
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外国作品賞 「英国王のスピーチ」
  トム・フーパー監督
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石原裕次郎賞 「探偵はBARにいる」
  橋本一監督
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石原裕次郎新人賞   該当者なし
ファン大賞 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
  山崎貴監督
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石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞。賞金は各300万円、100万円。




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