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石原裕次郎賞−「探偵はBARにいる」橋本一監督

【受賞発表記事】

 「探偵はBARにいる」(橋本一監督)が、石原裕次郎賞に選ばれた。ススキノの気まぐれな探偵が、ナゾの美女の依頼から事件に巻き込まれる娯楽大作。昭和の日本映画の王道である極上のエンターテインメント性を存分に追求。キャラクター性、娯楽性、時代性にこだわり抜いたことが受賞の決め手となった。主演の大泉洋(38)は「信じられず、思わずにやついた」と喜んだ。

 “探偵”の大泉にも石原裕次郎賞受賞だけは読めなかった。「仰天報告がある ! 」。マネジャーの興奮した声に「いい情報だったためしがない」と警戒しながら受けた朗報だった。「信じられなかったが、にやついたのを覚えています」。東映社員監督の橋本監督(43)も「賞をいただくような映画じゃないと思っていた。幸せです」と声を弾ませた。

 作家東直己氏による「ススキノ探偵シリーズ」の第2巻目「バーにかかってきた電話」が基になった。札幌・ススキノの探偵“俺”(大泉)が1本の電話で女性(小雪)の依頼を受け、事件に巻き込まれていく。2月中旬に極寒の北海道で約1カ月間、ロケを敢行。アクション初挑戦の大泉は凍った雪で爪をはがしながら雪山にたたきつけられるなど、寒中でアクションに挑み続けた。「肉離れで激痛が走り、『パンチ打てないんですけど』と訴えたら、『じゃキックに変えて』と。一方で監督たちは、毎晩飲んでジンギスカン食べてた」。この大泉の恨めしげな告発に、橋本監督は「寒い中で苦労させて心が痛む」と頭をかいた。

 酒好きで美女に弱い探偵、相棒、ナゾの美女依頼人、名曲、しゃれたバー、アクション、アウトロー…。「探偵は―」には昭和の古き良き時代のエンターテインメント性が存分に詰め込まれている。小粋でダンディーで、ススキノや小樽など北の大地の魅力も余すところなく映像化。このスケールの大きさが、裕次郎賞に値すると評価された。

 北海道生まれの大泉は「裕次郎さんの面影を感じる映画。ただある雑誌に、主演は大したことないと書いてあった」と笑わせた。橋本監督は「(裕次郎さんの出演作は)僕たちの目指すシリーズ映画の原点。毎年(裕次郎賞を)取れるように頑張る」と受賞の重みを感じていた。【山田準】

[2011年12月6日 紙面から]

 ◆「探偵はBARにいる」 札幌・ススキノのバーを根城にする探偵(大泉洋)はある日、謎の女性から不思議な依頼を受けた。「ミナミという弁護士に、去年の2月5日にカトウはどこにいたか」と聞いてくれ、という内容だった。相棒の高田(松田龍平)と調査に乗り出す。続編の製作が決まっている。

石原裕次郎賞・選考経過
 「探偵はBARにいる」と「ステキな金縛り」に票が分かれ、決選投票で「探偵は―」が制した。「バディムービー(コンビが主役の映画)として優れていて、最後まで楽しめた」(木下博通氏)と内容を評価する意見や、「『探偵は―』にはいかにも、裕次郎さん的な、都会的な小粋さがある」(櫻井修氏)などの、同賞に合った映画だという声などが相次いだ。
日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞
  受賞作品/受賞者 記事
作品賞 「一枚のハガキ」
  新藤兼人監督
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授賞式記事
監督賞   新藤兼人監督
  「一枚のハガキ」
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主演男優賞   松山ケンイチ
「マイ・バック・ページ」「GANTZ」「うさぎドロップ」
「ノルウェイの森」
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主演女優賞   宮崎あおい
「ツレがうつになりまして。」「神様のカルテ」
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助演男優賞   西田敏行
「探偵はBARにいる」「はやぶさ/HAYABUSA」
「ステキな金縛り」
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助演女優賞   加賀まりこ
「洋菓子店コアンドル」「神様のカルテ」
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新人賞   井上真央
「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」「八日目の蝉」
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外国作品賞 「英国王のスピーチ」
  トム・フーパー監督
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石原裕次郎賞 「探偵はBARにいる」
  橋本一監督
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石原裕次郎新人賞   該当者なし
ファン大賞 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」
  山崎貴監督
授賞式記事
石原裕次郎賞・石原裕次郎新人賞とは
 1987年(昭和62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られるのが石原裕次郎賞。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られるのが、石原裕次郎新人賞。賞金は各300万円、100万円。




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