俳優高良健吾(28)が「悼む人」「きみはいい子」で、主演男優賞を初受賞した。5年前の10年に石原裕次郎新人賞を受賞してから2度目の授賞式。両賞の獲得は、過去27回の歴史でも木村拓哉と岡田准一に続く3人目で、20代での制覇は初の快挙だった。
真っすぐに前を向くと、視線を下げもせずに、丁寧に言葉をつむいだ。「これからやっていかなきゃいけない、苦手で避けていたことを1つ1つ意識しながらやらせていただいた2つの作品で賞をいただけて、すごく自分の励みになります」。瞳を潤ませたスピーチに、誠実な人柄が表れた。司会の露木アナが「深いお話に感動しました」と言葉をかけたほどだった。
5年前の受賞は「すいませんの気持ちばかりで、何も言えませんでした」と、恐縮しきりだった。今年は違う。「そうそうたる先輩方の中から選んでいただき、前に近い気持ちもあるけれど、いちいちそれを出す必要はない。堂々ともらおう」と登壇した。意識改革に取り組んだ10年目の仕事を評価された。手応えのあった受賞だからこその振る舞いだった。
人柄、仕事ぶりが多くの人を魅了する。呉美保監督からは「現場での姿勢を見ていて、本当に尊敬できた。人として好きです」と絶賛された。前年度受賞者の岡田准一には「この賞が心の支えになったり、先輩方の歴史を感じたりすることが増えると思います」とエールを送られ、「素晴らしいたたずまいで身を削るようにお芝居をされているので、どこかで共演させていただきたい」とラブコールを受けた。
年明けからはフジテレビ系「月9」の連続ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」に主演、新境地を切り開く。30代や40代には、どんな芝居で再び12月28日の授賞式に戻ってくるのか。楽しみは尽きない。【瀬津真也】