映画「64-ロクヨン-」で主演男優賞を受賞した佐藤浩市(56)は、94年以来2度目の受賞に「歳月がたって、またここにいる喜びを感じます」と素直に喜んだ。一方で、「その時の自分と今とでは、何も変わっていない」と振り返りつつ、「3度目があるとしたら、だいぶ変わって、大人になったと言わせていただきたい」と、3度目の受賞に意欲を見せた。
映画「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で主演男優賞を受賞して以来、22年ぶり2度目の受賞。「20年近く前にここに登壇し、歳月がたって、またここにいる喜びを感じます」とあいさつした。
「64-ロクヨン-」は、横山秀夫氏のベストセラー小説を映画化。昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件を扱った前後編の大作で、警察上層部と記者の間で苦しむ警察広報官を演じた。撮影は80日を超え、「ヤマ場続きで、緩めるところがなかった。毎日しんどくて緊張感があったが、刺激の楽しさもあった」。公開前に約220の媒体の取材に対応。「主役というのは、取材を含めて全部、引っかぶらないといけない。撮影から公開、そして公開が終わって、やっと荷物をおろせる」。主役としての覚悟もみせた。
初受賞は34歳だったが、現在は56歳。「その時の自分と今で、何が違うかを考えると、何も変わってないな。現場ではうるさいし、落ち着きがないし、いつもテンパっている」と苦笑い。司会の露木氏に「渋さが増しましたね」と言われると、「56にして、お前これか、という感じですが、そういう風に見えるというのが役者にとって大事なこと」と応じた。
来年も6月公開「花戦さ」をはじめ4本の映画、ドラマが決まっている。「あまのじゃくなので、今度は汚れた、クズみたいな役をやりたい。新しい自分がみられる、楽しめる仕事で良かった。3度目の登壇があるとしたら、だいぶ変わった、大人になったと言わせていただきたい」と話した。【林尚之】