「64-ロクヨン-」で作品賞を受賞した瀬々敬久監督(56)は、「映画の全てを引っ張ってくれた、ここに今いらっしゃる佐藤浩市さんに感謝いたします」と賛辞を贈った。同作では奥田瑛二、三浦友和、永瀬正敏、綾野剛、瑛太…。豪華俳優陣が脇を固めた。「サッカーで言えば日本代表のようなチームを、浩市さんが中心になって引っ張っていた。演じるだけではない俳優。映画の世界そのものを、肉体を通して築きあげていた」。
89年、デビュー作でピンク大賞新人賞を受賞した。成人映画での経験は今も生きている。「男女の性愛シーンは、むき出しの感情、そのぶつかり合いがあって成立する。生身の人間同士でぶつかり合うところは、デビュー当時からそういうものを作ることによって、培われてきた」。今作も、アクションやCGではなく、役者同士の芝居が見どころ。監督生活27年の全てを注いで、つかんだ作品賞だった。【杉山理紗】