第29回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)の授賞式が28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われ、約600人の映画関係者が出席した。石原裕次郎賞は30年に及んだシリーズ集大成の「さらば あぶない刑事」(村川透監督)。タカ&ユージこと、舘ひろし(66)柴田恭兵(65)は、奇跡の出会いに感謝した。
授賞式冒頭、タカとユージがスクリーンから飛び出したようだった。舘と柴田はサングラス姿で登場、ドラマ、映画と30年間変わらない2人の姿に観客が沸いた。
賞金300万円の目録を受け取ると、柴田は「分配はどうするか…。舘さんはバイクに乗ってショットガンぶっ放してるだけなので辞退してもらって、僕は走りましたから多めに」と笑わせると、舘は「俺、辞退したの!?」。映画さながらのやりとりに、さらに盛り上がった。
同作の撮影前、舘の呼び掛けで村川監督、スタッフ、俳優の決起集会が3回開かれた。舘は、シリーズ完結作を前に、スタイリッシュでハードボイルドな「あぶデカ」への原点回帰を目指し、ストーリー重視の作品にしようと語った。柴田は脚本の段階からアイデアをどんどん出していった。
そんな深イイ話も2人にかかれば、おもしろい話になる。舘が「『あぶない刑事』史上初めて。あははは」と笑えば、柴田は「舘さんが初めてまじめに取り組んでくださった。今までは犯人と分かれば撃ってたから」と応じた。横で聞いていた村川監督も思わず「見てよ、この2人。どんなことでもくすっとおもしろいんです」とうれしそうだった。
ただ、互いについて語る時は、照れもなくストレートな言葉が口をつく。「舘さんとじゃなければ、ここまでできなかった。奇跡的な出会い」「柴田恭兵という俳優との旅は、すごく楽しかった。僕にないものをたくさん持っていて、本当にいろんなことを学びました」。
作品は、タカとユージが定年退職しラストを迎えたが、その後の2人に興味が湧く。村川監督は「次があるのかないのか分かりませんが、実現するかもしれないと思うから次を希望してくれるんですよね」と、ファンへの感謝も示した。
次があってもなくても、タカとユージ、奇跡のコンビに変わりはないが、舘が「(その後が)あっても楽しいかもね」と言うと、柴田も短く「うん」と答えた。コンビの見納めにはまだ惜しい。【小林千穂】