「浅田家!」「Red」「一度も撃ってません」に出演した俳優妻夫木聡(40)が助演男優賞を受賞。妻夫木と「浅田家!」で共演した女優渡辺真起子(52)が助演女優賞を受賞した。
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祝福の拍手の中、渡辺の目から涙があふれ出した。
「仕事を始めて30年たって、今年1年、私の存在は何だろうと思っていた。本当にうれしくて…」
女優デビューから32年。単館系の映画を軸にキャリアを重ね、練り上げた演技力で多くの監督から引く手あまたの存在となったが、国内の映画賞の受賞は少なかった。「親も早くに他界して報告する人がいないと思った。映画に関わる皆さんが喜んでくれるかな」。
「浅田家!」では、東日本大震災の被災地で津波で泥にまみれた写真を洗浄するボランティアを演じた。役のモデルの女性と、自ら被災地でがれき撤去のボランティアを行った経験を重ねて役作りした。一方「37セカンズ」では、職業についての知識も経験もない風俗嬢を演じた。振れ幅のある役を演じきる秘訣(ひけつ)は「いろいろな監督と出会い、描き出したい世界に入り込ませてもらったから」。その一言だ。
コロナ禍で危機に立たされた映画館を救う「ミニシアターエイド基金」立ち上げ時は俳優の中で先頭に立ち、泣きながら支援を訴えた。「映画館は職場。映画は人生の教科書であり、好きなもの。恋みたいなもので理由なんかない」。映画を愛し、愛される女優に映画の神がご褒美をくれた。【村上幸将】
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◆渡辺真起子(わたなべ・まきこ)1968年(昭43)9月14日、東京生まれ。86年からモデルとして活動を始め、88年にオムニバス映画「バカヤロー! 私、怒ってます」の「遠くてふられるなんて篇」(中島哲也監督)で女優デビュー。99年「M/OTHER」(諏訪敦彦監督)で第14回高崎映画祭主演女優賞、13年「チチを撮りに」(中野量太監督)で第7回アジアン・フィルム・アワードで日本映画界初の最優秀助演女優賞を受賞。
◆浅田家! 写真を撮るのが大好きな政志(二宮和也)は、父(平田満)母(風吹ジュン)兄(妻夫木聡)を巻き込んで、さまざまな職業に扮(ふん)したユニークな家族写真を撮影、大きな賞を受賞した。写真家として軌道に乗り始めたころ、東日本大震災が起こる。被災地では写真洗浄を行うボランティア(菅田将暉、渡辺真起子)らと出会う。中野量太監督。
◆「37セカンズ」 生まれた時に37秒、息をしていなかったことで脳性まひとなった貴田ユマ(佳山明)は、過保護な母恭子(神野三鈴)との生活に息苦しさを感じていた。親友の漫画家(萩原みのり)のゴーストライターを務める中、独立しようと自作の漫画をアダルト系漫画雑誌の出版社に持ち込むが、女性編集長藤本(板谷由夏)に性体験がないと描けないとダメ出しされる。夜の街に出たユマは風俗嬢舞(渡辺真起子)の言葉で、自分の人生を切り開こうと前に進み出す。
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▽選考経過・助演女優賞 コロナ禍でミニシアターを救う運動もしてきた渡辺真起子について「役者にとって試練の年だったことを考えたい」(寺脇研氏)などと評価する声や、「監督からの絶大なる信頼感があったはず」(伊藤さとり氏)との声も。2回の投票で決定。
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★昨年「よこがお」などで助演女優賞を受賞した市川実日子(42) おめでとうございます。本来だったらこの年末に、真起子さんにお会いできたんだな…、ステージ上の真起子さんはどんなお姿で、どんな表情をされたのかな…なんて、さみしさとともにうれしい想像をしています。以前ご一緒した時のことが、強く印象に残っています。「真起子さんが居る」ということで、現場自体が心強い空気になっているのを感じました。この新しい時代に、どんな作品が生まれていくのか。これからの真起子さんの足音に、耳を澄ませていきたいです。