韓国の独立系の映画、しかも新人女性監督の初長編作ながら、世界3大映画祭の1つベルリン映画祭ジェネレーション部門14plus(ティーン向け)グランプリなど各国の映画賞を席巻した「はちどり」が外国作品賞に輝いた。
キム・ボラ監督(39)は「小さな韓国の映画が、日本でたくさんの愛をいただくには、観客の皆さんの応援が大きな力となりました。SNSのレビューを読ませていただき、とても繊細に深く読み取っていただいた。この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたい」と感謝した。日本で配給したアニモプロデュース成宏基代表取締役は「19年にベルリンで見て映画作りの誠実さを感じた。映画館で見る価値が高いから、日本で配給したいと思った」と笑みを浮かべた。
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◆「はちどり」 94年、ソウルの集合団地で家族と暮らす14歳のウニ(パク・ジフ)は、自分に無関心な大人に囲まれて孤独な思いを抱え、学校にもなじめず、別の学校に通う親友と遊んだり男子学生とデートしていた。その中、漢文塾に女性教師ヨンジがやってきた。自分の話に耳を傾け、人生を気にかけてくれる初めての大人で、ウニは次第に心を開く。ある朝、姉が乗るバスが通る、ソンス大橋崩落の知らせが入る。ほどなくして、ヨンジから手紙と小包が届く。
◆キム・ボラ 1981年11月30日、韓国・ソウル市生まれ。東国大映画映像学科を卒業後、コロンビア大学院で映画を学ぶ。11年の短編「リコーダーのテスト」が、米国監督協会最優秀学生作品賞をはじめ、各国の映画祭で映画賞を受賞し、翌12年の学生アカデミー賞韓国版ファイナリストにも残った。同作で9歳だった主人公ウニの、その後を「はちどり」で描いた。
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▽選考経過・外国作品賞 「はちどり」は「後になって思い返して残る作品」(秋山登氏)と評価の声。米アカデミー賞受賞の「パラサイト 半地下の家族」と争い、2回の投票で決定。