「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)が、石原裕次郎賞を受賞した。

配給のアニプレックス、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏の原作を連載した「週刊少年ジャンプ」出版元の集英社と製作したufotable(ユーフォーテーブル)が、3社を代表して「日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の受賞ありがとうございます。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が多くの方に見て頂けていることに心より感謝を申し上げます」とコメントを寄せた。

コロナ禍で全国の映画館が4月から1カ月強、休業に追い込まれた。そんな中、5月に原作の連載終了が迫ったことが話題を呼び、各メディアが報じる社会現象に。同18日発売の同誌で最終回を迎えると、映画への期待が一気に高まった。

映画館は営業再開後も、感染拡大への恐れから客足が伸びない上、感染予防対策で席を空けての営業を余儀なくされた。その中、10月16日の封切り後、3日間で興収46億円を突破。作品の力で観客の“心のハードル”を下げ、シネコンを中心に映画館の救世主となった。公開10日で興収100億円、24日で同200億円と最速で大台を突破し日本映画史を塗り替え続けた。

ufotableは「また見てくださった皆様、お力添えくださる皆様のおかげで年内、年明けと上映が続けられることとなりました。そのことはスタジオにいるスタッフのエネルギーとなっています。さらに栄誉ある石原裕次郎賞もちょうだいし、そのエネルギーはより大きなものになると思います。これからも変わらず、作品ならびにスタジオ、スタッフを応援頂ければうれしく思います。ありがとうございました」と感謝した。【村上幸将】

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◆「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」 蝶屋敷での修行を終えた鬼殺隊の竈門炭治郎(かまど・たんじろう、声=花江夏樹)と妹禰豆子(ねずこ、同=鬼頭明里)、我妻善逸(あがつま・ぜんいつ、同=下野紘)、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ、同=松岡禎丞)は次の任務の地・無限列車に到着する。短期間に40人以上の行方不明者を出した無限列車の車内で、鬼殺隊の最高位“柱”の1人、炎柱の煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう、同=日野聡)と合流し鬼と戦う。

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▽選考経過・石原裕次郎賞 「石原裕次郎賞らしい大きな画角の作品」(石飛徳樹氏)と「罪の声」を推す声や、「意欲作」(福島瑞穂氏)と「スパイの妻」への声。「鬼滅の刃」は「2020年の時代賞、記録」(秋山登氏)「アニメを見て映画、映画を見て動画を見る、いい循環ができた」(品田英雄氏)と評価、1回の投票で過半数獲得。

◆石原裕次郎賞 1987年(昭62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原プロモーションが運営に全面協力している。その年に最もファンの支持を得て、スケールの大きな作品に贈られる。賞金は300万円。

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★昨年の石原裕次郎賞「アルキメデスの大戦」の山崎貴監督(56) この先の見えない時代に、「鬼滅の刃」が子供たちに…そして大人たちにさえも与えてくれた勇気や希望のことを思うと、本当にこの作品がこの時代にあって良かったと思います。そして苦しい戦いの中にあった映画館がどれほどこの作品に助けられたことでしょう。石原裕次郎賞受賞、心からおめでとうを言わせてください。