一昨年に新人賞を受賞した清原果耶(19)が初の10代、史上最年少で助演女優賞を受賞した。
「今回も、まさか自分がという驚きの気持ちが一番大きいです。これからも頑張ろうって思えるようなきっかけをいただけたなって思っています」。言葉を大切に選びながら、喜びを語った。
「護られなかった者たちへ」(瀬々敬久監督)では、震災後の宮城県で生活保護受給者のケースワーカーという難役を演じた。「作品の1つのパーツとして、ちゃんと自分は確かにそこに存在できていたんだなって、証明していただいたような。そんなありがたい気持ちです」。
急上昇の成長曲線を描いている。「自分で自分のことを成長したなと思う瞬間なんて、本当になくて…」と謙遜したが「したいなーという願望はありますよ」と笑った。残る主演女優賞への期待も膨らむ大器。「いろんな作品に参加させていただく中で、自分が心を削って頑張った上で、そういうことがあったらうれしいなとは思います」と力を込めた。
ヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」も東北が舞台。震災時は小3だったため今回、現地で被災者の話を聞き、資料を読み込んだ。「全部知れるわけではない、分からない部分があるのは承知の上で、いかに作品に落として伝えられるメッセージがあるのか、意識しながら向き合っていきました」。充実の年を「早かったの一言に尽きますね。最近カレンダーを見る度に『え、もう12月!』というくらい一瞬でした。すごく濃密な時間を過ごしてきた1年。時間に置いていかれないよう、必死に走り続けていた1年」と振り返った。
今年の自分にあげたい賞を聞くと「シンプルに『頑張ったで賞』」と恥ずかしそうに回答した。直後、同席したマネジャーに「いいですか?」といたずらっぽく確認。重厚な役であまり見せなかった、19歳らしい笑顔を見せた。【佐藤勝亮】
◆選考経過・助演女優賞 「立ち位置が難しい役を生きた」(笠井信輔氏)と評価の声があった清原と「感情を表に出さないのがクレバー。他の人と違う意味で光った」(安藤涼子氏)と支持された三浦透子が1回目の投票で並ぶも、決選投票を清原が微差で制した。
◆清原果耶(きよはら・かや)2002年(平14)1月30日、大阪府生まれ。14年アミューズオーディションフェスでグランプリ獲得。15年NHK朝ドラ「あさが来た」で女優デビュー。19年映画「デイアンドナイト」などで日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞の新人賞。大みそかの第72回NHK紅白歌合戦でゲスト審査員。22年TBS系「ファイトソング」で民放ドラマ初主演。162センチ。
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◆「護られなかった者たちへ」 東日本大震災発生から10年目の仙台で、人格者が全身を縛られ餓死する事件が連続で発生。別事件で服役、出所した利根泰久(佐藤健)が捜査線上に浮かび、宮城県警捜査一課の笘篠誠一郎(阿部寛)は、利根の幼なじみ円山幹子(清原)含め捜査を進める。
▽昨年「浅田家!」「37セカンズ」で助演女優賞を受賞した渡辺真起子(53) 清原果耶さん、最優秀助演女優賞ご受賞おめでとうございます。瀬々監督「護られなかった者たちへ」撮影は過酷であったと思います。清原さんの真っすぐなまなざしは強く美しく、濁りなく世界を見つめているように役柄の中で生きていました。純粋さだけではなく、何にも寄りかからないでいる姿が役を強くしていたと思います。来年、20歳を迎えられるとのこと、ご活躍を楽しみにしています。この度はおめでとうございます。