日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、株式会社石原音楽出版社協賛)で今年、3回目を迎えたファン参加の賞「ファンが選ぶ最高演技賞」に、TOBE所属の3人組新グループ、Number_i(ナンバーアイ)の岸優太(28)が選ばれた。「ファンが選ぶ最高作品賞」にも、初主演映画「Gメン」(瑠東東一郎=るとう・とういちろう=監督)が選ばれ、2冠に輝いた。

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岸は2冠の盾を真剣な表情で見つめた。「ありがたい限りです。ファンの皆さんのおかげでしかないですし、『Gメン』を、ここまで愛してくれたからこそ取れた」と、自らに1票を投じたファンに感謝した。「欲を言うならば、ファンの方々にも、この賞を、ちぎって…じゃないけど本当に分け合いたい感じ」と、ありったけの熱い思いを口にした後、笑みを浮かべた。

「Gメン」で演じた門松勝太は、ものすごく強くおとこ気がある一方、女性経験がなく女性に弱いという振れ幅の大きい役どころだった。瑠東監督からは「岸君のイメージと、そのままリンクする。自分を出して欲しい」と口酸っぱく言われたが「逆に、そのままが難しかった」という。「どうしたらいいか分からない。素の部分を出す…キャラクターを役に反映させる作業は難しかった」と振り返った。

竜星涼(30)矢本悠馬(33)らが同級生役、高良健吾(36)と田中圭(39)が先輩役と、共演陣は主演を張ったり大作で重要な役どころを演じる芝居巧者だらけだった。座長ながら「初日とか、ずっと端っこにいて萎縮していました」という。その中で「引っ張ろうとか思っていなくて。プロの方がたくさん集まっている中で、むしろ学びながら吸収させて頂いた部分が、すごく多くて。一人間として勉強になった」と、謙虚な気持ちで撮影に臨んだことが現場を1つにした。そして「現場のテンション感だったり、監督のおっしゃることで、だんだん殻が破れていった」と、自然と勝太になっていけた。

映画俳優として、初の個人タイトルを手にした。映画とは何か、と問うと「僕が映画を語るなんて、すごくおこがましいですけど…心動かされ、影響され、人生に関わってくる、幸せをくれるもの」と答えた。そして「楽しさ、喜び…いろいろな感情を、良い意味で与え、気持ちを動かせる人間でありたい。誰かのために、という言葉があるんですけど、本当にそうなれるよう頑張りたい」。ファン大賞を胸に、岸優太はファンとともに歩み続ける。【村上幸将】

◆岸優太(きし・ゆうた)1995年(平7)9月29日、埼玉県生まれ。09年7月にジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)入りし、King&Princeとして活動。13年の日本テレビ系「仮面ティーチャー」で俳優デビュー。23年9月末に同事務所を退所し、10月15日にTOBE加入を発表し、7月に加入していた平野紫耀(26)神宮寺勇太(26)と「Number_i」を結成。167センチ。血液型A。

◆「Gメン」14年から18年まで漫画誌「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)で連載された漫画家・小沢としお氏の同名原作を映画化。女子に大人気の男子進学校・武華に転校したはずが、問題児ばかりが集まる最底辺クラス1年G組に入ってしまった門松勝太(岸)が、超問題児だらけのクラスメートと彼女を作る目的で一致団結。上級生らとともに恋、友情に毎日を楽しく全力で過ごし、プライドを持ってはい上がる。

◆ファンが選ぶ最高演技賞&最高作品賞 21年に新設した一般のファン投票で決定する初の部門。第1回では、最高演技賞が男女優合わせて50人、最高作品賞が50作品のノミネート枠の中から、三浦春馬さんと最後の主演映画「天外者」が選ばれ2冠を獲得。昨年の第2回は、最高演技賞で男女優合わせて100人、最高作品賞も100作品とノミネート枠を倍に拡大し、なにわ男子の道枝駿佑と道枝の初主演映画「今夜、世界からこの恋が消えても」が選ばれ2冠。道枝は正賞の石原裕次郎新人賞にも輝き3冠を達成した。第3回の今回は、最高演技賞は男女優合わせて200人、最高作品賞も200作品と、ノミネート枠が第1回の4倍に拡大された。