松岡茉優(28)が2度目の主演女優賞を受賞した。27日に日刊スポーツ公式YouTubeチャンネルでプレミア配信された特別番組内で発表された。
「愛にイナズマ」(石井裕也監督)で、自身の夢であった作品をプロデューサーと助監督に奪われる若手映画監督を演じた。理不尽な世の中に心が折れる人間の弱さと、その後、純粋な心を持つ友人や家族と再起して反撃するパワフルな姿を両立させた。また、アフターコロナを舞台に、マスクの動きや脱着でも心境を表現した。主演女優賞は「蜜蜂と遠雷」で受賞した19年以来。
▽松岡茉優コメント
主演女優賞をいただきました、松岡茉優です。このたびは本当にありがとうございます。「愛にイナズマ」を見てくださった方、たくさんの反響をいただきました。「正直、つらくて見てられない」というご意見もいただきました。でもそれはそれだけ、私が演じた花子さんのように、辛い言葉を浴びせられたり、理不尽な目にあっていたり、何もかもあきらめたくなって「もう、何でもいいや」と思っちゃったことがある人が、たくさんいるんだろうな、と胸が痛くなりました。だから「映画を見られないな」という方がいるのも当然だと思うし。途中で「辞めたくなっちゃったな」という方がいるのもわかる。でも今回の映画は、まさにその一番しんどいところ、逃げたい、辞めたい、もう何もできない、というところから、ガガガッと反逆していく映画になります。「あいつら見てろよ」じゃないけど、もし、この映画を見るかどうか迷ってらっしゃる方がいて、モラハラとか、パワハラとか経験あってつらいんだような、という方がいたら、明るい時間とかに、もし良かったら見てみて欲しいです。きっとあなたにとって、その経験が、トラウマから「あいつら見てろよ」に変わる映画だと私は信じています。そして、すでにこの映画を見てくださった方にとっては、どなたかにとっては、この映画が、一番近くであなたを支えてくれる映画になっていたら、とってもうれしいです。今回、石井裕也監督と初めてご一緒して、たくさん演出をいただいて、とても個人的な話だけど、初めて、初号試写で自分のことを許すことができました。いつも「ダメだなあ、まだまだだなあ」「向いてないなあ、辞めちゃえばいいのに」と自分のことを思うんですけど、初めてそういう自虐がなくて「この時点でやれることを、私やったんじゃないか」と思うことができました。それはきっと石井裕也監督をはじめ、少数精鋭で頑張ったスタッフの皆さんが、私ができること以上に引き出してくださった結果であり、佐藤浩市さんや窪田正孝さんはじめ、すばらしいキャストの皆さんが引っ張り上げてくださった結果です。心から感謝しています。あんまり…ほめていただくことは苦手なんですが、こうやって主演女優賞をいただいたからには胸を張って、御礼をあらためて申し上げます。見てくださった方、映画を愛してくださっている方、そして選んでくださった方々、本当にありがとうございます。またお会いできるように、精いっぱい頑張ります。
◆松岡茉優(まつおか・まゆ)1995年(平7)2月16日、東京生まれ。8歳で芸能界入り。23年「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」で主演。「蜜蜂と遠雷」で第43回日本アカデミー賞優秀主演女優賞。11月に初の著書「ほんまつ」発売。
◆愛にイナズマ 折村花子(松岡茉優)は、空気を読めないが魅力的な舘正夫(窪田正孝)と運命的に出会う。夢の映画監督デビュー目前にだまされ、企画まで全て奪われながら反撃を決意。父治(佐藤浩市)兄誠一(池松壮亮)と雄二(若葉竜也)のダメ家族が抱える秘密を映画にして世の中を見返すと息巻く。