<日刊スポーツ映画大賞:新人賞・武井咲(愛と誠、るろうに剣心)>◇28日◇ホテルニューオータニ
第25回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)の授賞式が行われた。新人賞に輝いた武井咲(19)は、「夢のよう」と感激の笑みを浮かべた。女優デビューから約3年。モデル志望だった少女が、女優の意識に目覚め、「愛と誠」「るろうに剣心」で感じさせた無限の将来性を高く評価された。そして、映画界の先輩たちと登壇したことで、来年もまっすぐに女優道を歩んでいく決意を新たにした。
真っ赤なロングドレスに身を包んだ武井は、堂々とレッドカーペットを歩き、ステージに上がった。昨年の新人賞受賞者井上真央から記念盾を、「愛と誠」で共演した大野いとから花束を渡されると、満面の笑みを浮かべた。
「すばらしい賞をいただき、本当にありがとうございます。私なんかを評価していただき、みなさまには感謝しております」と謙遜しつつあいさつ。続けて「女優というお仕事は、いろんなことができるお仕事だと思っています。悪い役も、いい役も演じていけるような人になれたらいいなと思っています」と女優業への思いを語った。
女優業のスタートは、約3年前にテレビドラマだった。映画デビューは、6月に公開された「愛と誠」。70年代に大ヒットした人気純愛漫画の復活版映画で、不良高校生を愛するお嬢様ヒロインを熱演した。「るろうに剣心」では女剣士を演じるなど今年、幅広い演技力を一気に開花させた。
だが、06年に芸能界入りした当時はモデル志望で、女優への興味はなかった。
「やっていくうちにどんどん女優の魅力にはまり、すごく楽しくなって、悔しい思いもしたりしていくうちに『女優として認めてもらおう』という目標を持つようになりました」
25日に19歳になったばかり。ステージでは、吉永小百合や樹木希林らと並んで立った。大先輩たちが授賞式で話したさまざまな撮影エピソードに、刺激も受けた。「ああいう貴重なお話を聞けて、すごく勉強になりました。あの場に立てたことが、夢のようでした」と振り返った。
公開中の映画「今日、恋をはじめます」では、石原裕次郎新人賞を受賞した松坂桃李とともに主演している。ドラマ、CMでも活躍中で、輝いたまま、新年度を迎える。「このように評価していただけることはすごくうれしいですが、芝居を始めたばかりだった時の、自分の初心の気持ちを忘れずに、周りに感謝しながら1つ1つのお仕事を丁寧に、まっすぐ頑張っていこうと、あらためて思いました。頑張っていきます!」。2013年、19歳のヒロインは初心に戻り、前に進んでいく。【広部玄】
◆愛と誠
ブルジョア一家の令嬢、早乙女愛(武井咲)は雪山で少年に助けられた。11年後、東京・新宿地下街で愛は不良の太賀誠(妻夫木聡)と出会う。雪山で愛を助けた少年は誠だった。愛は不良グループとのケンカで上京早々、少年院送りになった誠を更生させるため、自分と同じ名門青葉台学園に編入させ、アパートや学費も用意。バイトまでして献身的に尽くすが、誠は退学に。三池崇史監督。
◆るろうに剣心
幕末に最強の剣客として恐れられた人斬り抜刀斎(佐藤健)は新政府軍が徳川幕府軍に勝ったと知ると剣を地面に刺して姿を消した。10年後に「殺さずの誓い」を立て、人を斬ることのできない「逆刃刀」を持ち、緋村剣心と名を変えて全国を流浪する。東京に現れた剣心は、亡き父の神谷活心流道場を守る薫(武井咲)と出会う。大友啓史監督。
◆武井咲(たけい・えみ)1993年(平5)12月25日、愛知県生まれ。06年「全日本国民的美少女コンテスト」入賞で芸能界入りし、07年にファッション誌「セブンティーン」専属モデルに。今年はNHK大河ドラマ「平清盛」に出演、シングル「恋スルキモチ」で歌手デビューも果たした。松坂桃李と共演の映画「今日、恋をはじめます」が公開中。166センチ。血液型A。