<日刊スポーツ映画大賞:新人賞・黒木華(草原の椅子、舟を編む)>◇28日◇ホテルニューオータニ

 新人賞の黒木華(はる=23)は、兵庫県西宮市での舞台「SEMINAR」に出演のため、授賞式を欠席した。代わりにビデオメッセージを寄せた。

 「『草原の椅子』では、成島監督がとても丁寧に、細かくケアをして下さったので全て演じることができたと思います。この賞をいただけたのも、作品に関わった、すべての皆さまのおかげと感謝しております」

 黒木の代わりに登壇した成島出監督(52)は、育児放棄で心を閉ざした子どもを引き取る女子大生という難役は、黒木しかいなかったと断言。「オーディションの途端、彼女でいこうと労せず決めた。スタッフ全員やられました。彼女と出会ったことが映画を幸せにしてくれた」と絶賛した。

 また前年受賞者として駆けつけた武井咲(20)は、新人賞受賞後の1年の充実ぶりを強調。「25日に20歳になりましたが、あっという間に終わった。たくさん撮影させていただいて、とても充実し、仕事で成長できた1年」と胸を張った。

 この日、欠席した黒木だが来年も充実の1年となりそうだ。山田洋次監督(82)最新作「小さいおうち」(来年1月25日公開)では準主役を務める。同監督から「かっぽう着が似合う。日本一」と絶賛されたが、「自分を美しいと思ったことは1度もない。いろいろな人に『ブス』って言われます。のっぺりした顔ですから」と苦笑する。

 そして「自分の色を出そうとは思わない。作品の中で黒木華は存在していないので。私が愛しているのは映画であり、芝居」と誓った。【村上幸将】

 ◆黒木華(くろき・はる)1990年(平2)3月14日生まれ、大阪府出身。10年に「NODA

 MAP」など舞台で活躍し、11年に「東京オアシス」で映画デビュー。13年には「シャニダールの花」で初主演を務めるなど、4作に出演した。ドラマでの活躍も目覚ましく、12年にNHK連続テレビ小説「純と愛」、今年10月期にはフジテレビ系「リーガルハイ」に出演して存在感を見せた。164センチ、血液型B。

 ◆「草原の椅子」

 遠間(佐藤浩市)は離婚後、娘(黒木華)と2人暮らし。平凡な人生に3つの変化が起きた。貴志子(吉瀬美智子)への恋心、取引先の社長富樫(西村雅彦)という親友の存在、親に虐待を受けていた圭輔(貞光奏風)との出会い。心の傷を抱える4人は世界最後の桃源郷と呼ばれるパキスタン・フンザへの旅を決意。圭輔への愛情を強く感じ始めた遠間は貴志子から思わぬ提案をされる。成島出監督。