<日刊スポーツ映画大賞:作品賞・永遠の0(山崎貴監督)>◇28日◇ホテルニューオータニ

 山崎貴監督(50)の「永遠の0」が、監督賞と作品賞、岡田准一の主演男優賞に加え、この日発表されたファン大賞を含む4冠を獲得した。前年「舟を編む」で作品賞を受賞した石井裕也監督から盾を受け取り、「僕は脇道、VFX(特殊視覚効果)の技術者として映画界に参加させてもらい監督になった。心苦しいところがあった。賞をいただき、監督としてやっていいと言っていただけた気がする」と喜びをかみしめた。

 最先端の技術を駆使したCGなどによる映像に、細やかな心情表現を織り交ぜた演出力、脚本の力を高く評価された。そのルーツは故伊丹十三監督だという。

 87年「マルサの女2」から93年「大病人」まで、VFXスタッフとして伊丹組に参加した。「監督人生の、ほぼ全域にわたり食い込んでやらせてもらった。俳優への(演出の)粘りもすごく、いい時期のエキスを体感できた」。伊丹監督も約25年の俳優生活を経て監督に転身しており、「勝手に師匠として学ばせてもらった」と共感している。

 伊丹さん直伝の人間の性(さが)を掘り下げる脚本、演出の力が開花した4冠獲得。「伊丹さんは、えげつないところから逃げなかった。作品のえげつなさは手に入れたい」と誓った。【村上幸将】