馬券発売される香港の国際4競走が、来週日曜(12月8日)に開催されます。目玉のひとつだったゴリアット(香港ヴァーズに登録)は回避しましたが、海外出走馬は日本9頭、英国7頭、フランス5頭、アイルランド4頭、6年ぶりとなるオーストラリアからは3頭、米国からも1頭の計29頭が参戦。地元香港の24頭と合わせた53頭の出走馬の内、24頭が国際G1勝ち馬となっています。今週はそれぞれのレースで本命視されている馬を紹介したいと思います。

【香港ヴァーズ・芝2400メートル】

18年のエグザルタント以来、優勝から遠ざかっている地元勢は4頭を送ります。その筆頭は昨シーズン未勝利のまま最優秀長距離馬に選出されたファイブジーパッチですが、彼我の力量差は大きく今年も苦戦が予想されています。

日本のステレンボッシュと本命の座を争っているのはオーストラリアから参戦するウイズアウトアファイト(セン7、父テオフィロ、A&S・フリードマン厩舎)です。昨年10月のG1コーフィールドC(コーフィールド、芝2400メートル)と11月のG1メルボルンC(フレミントン、芝3200メートル)を連勝。約1年の休養明けとなった前走のG1豪チャンピオンズS3着をステップに香港に乗り込んできました。後方追走からひしめく馬群を割って一気に伸びた昨年のメルボルンCは今もファンの語り草。ひとたたきされて真価発揮が期待されています。

【香港スプリント・芝1200メートル】 

11月17日に行われたG2ジョッキークラブスプリント(シャティン、芝1200メートル)で、香港レコードを更新する1分7秒43で駆け抜けたカーインライジング(セン4、父シャムエクスプレス、D・ヘイズ厩舎)が人気を集めています。前哨戦はザカリー・パートン騎手を鞍上に3番手を進み、直線豪快に伸びて優勝。ライバルがかすむ圧倒的な走りを見せました。カーインライジングはこれで10戦8勝、2着2回。昨シーズンはシーズン中に最もレーティングを上げた馬に贈られる最高成長馬と主に香港デビューの3歳馬を対象とする最優秀グリフィンをW受賞。ここ2戦は昨シーズンの最優秀短距離馬に輝いたカリフォルニアスパングルをまったく寄せつけず孤高の走りを披露しています。

【香港マイル・芝1600メートル】

前哨戦を制した地元のヴォイッジバブル(セン6、父ディープフィールド、P.イウ厩舎)を含む5、6頭に人気が分かれる混戦ムードですが、どうやら1番人気はG1マイルCSで待望のタイトルをつかんだソウルラッシュ(牡6、父ルーラーシップ、栗東・池江泰寿厩舎)になりそうです。昨年の香港マイルは名馬ゴールデンシックスティの4着でしたが、ひと皮むけた今なら…

【香港カップ・芝2000メートル】

11月17日に行われた前哨戦のG2ジョッキークラブカップ(シャティン、芝2000メートル)を楽勝したロマンチックウォリアー(セン6、父アクラメーション、C・シャム厩舎)が大本命です。昨シーズンはオーストラリア2戦、日本での1戦を含み6戦5勝。10月のG1コックスプレート(ムーニーヴァレー、芝2040メートル)で劇的勝利を飾り、香港に戻ってG1香港カップ(シャティン、芝2000メートル)、G1香港ゴールドカップ(シャティン、芝2000メートル)、G1クイーンエリザベス2世C

(シャティン、芝2000メートル)を3連勝。6月の安田記念ではナミュールやソウルラッシュを退けて優勝、昨シーズンの香港年度代表馬、最優秀中距離馬、最高人気馬に輝きました。勝って当たり前といったムードですが、今年は日本のタスティエーラやリバティアイランドを筆頭にエイダン・オブライエン厩舎の2頭の3歳牝馬(コンテントとウイングスパン)、それに前走のG2バーレーンインターナショナルトロフィー優勝から臨む英国のスピリットダンサーなど、ひと癖ある馬達がそろっているので、楽観視は禁物。人気とのバランスを考えると単勝勝負は避けた方がいいかも知れません。(ターフライター奥野庸介)

※競走成績などは2024年11月29日現在