<釣りステーション>

 釣春到来!

 東日本の主要河川で3月1日、一斉に渓流釣りが解禁する。今冬は残雪の影響で入渓が難しい河川もあるが、ヤマメやアマゴ、イワナなど渓流魚との対面が久しぶりにかなうシーズンだ。そこで、日本渓流連盟の役員でもある日刊釣りペン・クラブの相吉孝顕さん(76)が、関東周辺の河川に絞って狙い目も含めてルポする。

 約180万人いる渓流釣りファンにとって3月1日は、久しぶりに渓流魚との対面がかなうだけでなく、お気に入りの釣り場で実現できるなど、選択肢が広がる<特別な日>だ。それに人里から離れた上流域の山間部でサオを出すのは騒々しさも忘れ、自然と一体化した独特の釣趣が魅力。

 ただ、雪が多い今年はその雪によって入渓を阻まれる河川もある。できれば雪の影響が少ない河川で解禁を迎えたい。

 ちなみに、解禁当初は成魚放流か、居付きの魚を狙うかで釣るポイントが異なる。放流魚は橋など放流地点の下流域にたまる傾向があり、居付きの魚は水当たりのいいトロ瀬が狙い。しかし、現実には気温も水温も低い環境で居付きのヤマメやアマゴ、イワナなどを手にするのは至難の業。それでも、その難しさを克服してヒットさせるのも渓流釣りならではの醍醐味(だいごみ)。ネーティブ派なら放流地点を避けてサオを出すことをお薦めする。

 また、渓流釣りは折々に変化する釣り場の移ろいも楽しい。解禁当初でも山の斜面の木立に早くも淡いピンクの芽吹きが見られるかもしれない。こういった自然を堪能しながら野生の感性を取り戻し、盛期のシーズンに備えたい。<埼玉>

 ◆秩父漁協管内

 解禁当初、無難なのは荒川本流筋だろう。武ノ鼻橋周辺など居付きのヤマメが狙える。ただし、岩盤の場所もあるので要注意。解禁以降に本流で長瀞の栃渕から柳大橋にかけて放流が予定されている。大洞川や入川など上流は残雪があるため、雪の状況を確認して入渓してほしい。【河川】荒川上流本支流、浦山川、大洞川、入川中津川【入漁料】日釣り券1600円、現場券3000円、年券8400円【放流状況】昨年ヤマメ成魚約2020キロ稚魚約6万匹、イワナ成魚約60キロ、稚魚約1万匹、本年ヤマメ成魚約2675キロ稚魚約6万匹、本年イワナ成魚約60キロ稚魚約5000匹予定【残雪の状況】秩父市内約25センチ、上流約30センチ【問い合わせ】秩父漁協【電話】0494・22・0460<山梨>

 ◆富士川漁協管内

 山梨県最南部に位置する富士川漁協管内では今のところ、雪の心配はなさそう。むしろ雨不足で渇水状態が続いていた。だが、それも先ごろの雨が文字通り<恵みの雨>になるはず。そんな中で期待されるのが常葉(ときわ)川や福士川だ。アマゴがターゲットで、常葉川は甲斐常葉駅周辺から入渓して北川を経て道の駅の下流までU字形の渓相が続くが、好釣り場。道の駅から反木川合流点までの間もサオを出してみたい区間だ。

 福士川では、本流の釣り場は根熊の上皐月から上流で石合川の出合いなどを中心に徳間の幡竜橋までの間が本命。ヤマメもサイズのいいものが多い。支流は南俣川の下流や石合川、それに小渓だが有東川も好釣の可能性がある釣り場だ。【河川】富士川下流の佐野川など、戸栗川、福士川、常葉川【入漁料】日釣り券800円、現場券1200円、年券4000円【放流状況】昨年アマゴ稚魚約21万匹成魚約370キロ、イワナ稚魚約4000匹、本年も同量放流予定【問い合わせ】富士川漁協【電話】0556・62・2000

 ◆峡北漁協管内

 こちらはアマゴとイワナが狙い。解禁当初では、釜無川筋よりは塩川筋の方が実績が高く、特にイワナの区域がいい。ムード派には、釜無川の小武川の合流点から大武川の合流点までの本流筋が渓相もよく、お薦めだ。

 なお、山梨県の一部河川では3月15日が解禁の釣り場もあるので注意したい。【河川】釜無川本支流、大武川、小武川、塩川【入漁料】日釣り券800円、現場券1200円、年券4000円【放流状況】昨年アマゴ稚魚約20万匹、イワナ稚魚10万匹、本年も同量放流予定【残雪の状況】雪の心配少ない【問い合わせ】峡北漁協【電話】0551・27・2580<静岡>

 ◆狩野川

 雪の心配はないだろう。主にアマゴがターゲットで釣り場も本流以外に桂川や大見川、柿木川、吉奈川、猫越川、持越川など多く、好きな渓相を選んで入渓できるのが心強い。中でも大型の期待度が高いのが大見川だ。年川の合流点が中心で、数では上流の筏場が狙い目。本流筋は、嵯峨沢橋周辺から長野川の合流点を越え、田毎淵までが好釣果の可能性がある釣り場。ここから上流は、西平橋の下で河鹿の湯の横から入渓でき、本谷の出合いまでがいい。世古峡を越すと温泉の橋から楽に入渓でき、持越川の出合いまでソ行できる。本谷川では浄連の滝を越し、取水堰(ぜき)から滑谷の合流点で川に入れ、大石と落差のある渓流が楽しめる。【河川】狩野川本支流【入漁料】日釣り券1100円、現場券現1600円、年券6000円【放流状況】昨年アマゴ稚魚約1万5000匹、成魚約1000キロ、本年も同量放流予定【残雪の状況】雪の心配なし【問い合わせ】狩野川漁協【電話】0558・72・5945