【阪神】マナーが良くても活躍できない?藤川監督が「大人な」ルーキー9人に期待すること
<ニッカンスポーツ・コム/プロ野球番記者コラム>
阪神藤川球児監督(44)は、優しいまなざしでルーキーたちを見つめていた。
「すごく大人な選手なので、社長と一緒にすごく安心してこの日を迎えています」。9日の新入団選手発表会に出席した指揮官。会見直前に対面した新人9選手の落ち着いた姿に「今の子は、ちゃんとマナーがいいですね」と笑顔を見せた。
今年のドラフトで高卒選手は2位の報徳学園・今朝丸裕喜投手(18)の1人。しかし、指揮官が感じる変化は年齢の理由だけではない。この日の会見では全員がそれぞれの個性を出しながら、言いたいことを気後れせずしっかりと口にしていた。プロの世界で活躍するためにやるべきことを分かっているかのようで、それは先輩選手たちの雰囲気にも通じる変化だ。
「今は先輩たちが素晴らしいから。僕たちの時代とは違うんでね。どうしても最下位を何年も続けているような時だったので。まあいいじゃん、いいじゃんって。頑張っている努力をしている選手をあまりよく見ない時代もあったけど、もうそんなことはない」
昨季は18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を達成。優勝はもう遠い目標ではない。目指すべきもののために努力する。最近の選手たちの自立心を、指揮官になってあらためて感じているようだ。
一方で「ちゃんとしている」だけで活躍できる、そんな世界ではないことも知っている。「真面目な選手がたくさんいる。1つの組織なんで、マナーも多分うるさく言うスタッフの方もいるんでね。だけどマナー良くやっても1軍には上がれないですからね(笑い)」。すでに「大人」な選手たちに舌を巻きながら、奥底に隠れた野心を心待ちにしているようだった。【阪神担当 磯綾乃】