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初芝立命館、最後の“夏”ではなく“最後の秋” 校名変更、功労者の部長引退前最後の大会で奮闘

初芝立命館のユニフォーム(2021年7月26日撮影)
初芝立命館のユニフォーム(2021年7月26日撮影)

今秋の大阪府大会で8強入りを果たした初芝立命館は、この大会がさまざまな要素で最後となった。高校野球でよく「最後の夏」という言葉は耳にするが、夏だけではない。「最後の秋」もある。

2025年4月から学校法人名が「大阪初芝学園」から「利晶学園」に変更される。法人名の変更に合わせ、校名も「初芝立命館」から「利晶学園大阪立命館」となる。

21年6月には「育成功労賞」で表彰された経験がある竹谷周久部長も「寂しさが強い。お世話になりましたから」と名残惜しそうに語った。

竹谷部長も2024年度限りで定年退職する。来春の府大会は校名が変更され、竹谷部長の退任後となるため、現体制ではこの秋が最後だった。監督経験もある竹谷部長。部長という立場だが、現監督の意向もあり、昨秋からは指揮を執っていた。

指導する際に最も大事にしていることは「意識付けですね」。「うちの選手はそんな能力的に悪くない」と話しつつもミスなどに言及。「どこでもやっていることは一緒やのに。なぜそれだけの差があるの? と。大阪桐蔭なんかそんなミスする? しないよな? そしたら日頃じゃないの? というのは口酸っぱく言っています」と語った。

府大会で3位以内に入り、近畿大会出場から躍進すれば、来春センバツ出場となって現体制での戦いが続く可能性もあった。

選手たちも「センバツ出場」を目標とした。5回戦で勝利し、準々決勝進出を果たした際には竹谷部長も「今の子たちはそれを本当に目標にしつつあるかな。行けたらいいかな、じゃなくて」と喜んだ。選手には「行けたらいいでは行けない。行くんだという気持ちでないといけない」とも伝えている。

勝てば近畿大会出場の可能性が広がる今秋の府大会準々決勝は、近大付とのシーソーゲームとなった。2点を追う7回に逆転するも、9回表に逆転を許した。それでも裏の攻撃で追いつき、試合は延長タイブレークへ。11回までもつれこむ激闘を演じた。最終的に13-15で敗れたが、最後まで粘り強く戦った。

校名が変わっても、部長が退職しても、受け継がれるもの、変わらないものはある。目標にしつつある「甲子園出場」へ挑み続ける。基本的に高校球児が「これが最後にならないように」と戦うことは夏だけ。新チーム始動直後の秋に熱い思いを持って粘り強く戦った同校の来春以降の戦いに注目したい。【塚本光】

 野球をこよなく愛する日刊スポーツの記者が、その醍醐味、勝負の厳しさ、時には心が和むようなエピソードなど、さまざまな話題を届けます。

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