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中京大中京復活V 高橋監督が就任5年目悲願/愛知

<高校野球愛知大会:中京大中京4-3愛工大名電>◇30日◇決勝◇パロマ瑞穂野球場

 名門復活だ。中京大中京が愛工大名電に逆転勝ちを飾った。夏の甲子園は5年ぶり27度目。就任5年目の高橋源一郎監督(35)にとっては、指揮官として春夏通じて初の甲子園出場。悲願達成で、高橋監督率いる中京大中京が、甲子園に新たな歴史を刻む。

 35歳の青年監督が、人目もはばからず泣いた。試合後に大藤前監督と目が合うと、もう我慢できなかった。「良かったな」とねぎらいの言葉をかけられると、さらに涙があふれ出た。「なかなか勝てずに周りから何をやってるんだと言われた。全国で通用するチームを、と思ってやってきて、ようやくスタートに立てた」。そう言うと高橋監督はまた目を潤ませた。

 選手たちの成長に目を細めた。試合開始から数分後に本塁打で3点をリードされるまさかの展開。それでも2回途中から登板したエースで主将の上野翔太郎投手(3年)が、チームを落ち着かせる力投で7回2/3を無失点。7回には伊藤寛士捕手(3年)の同点打などが飛び出し、ついに逆転。粘り腰で試合をひっくり返した。

 いばらの道だった。2010年8月にコーチから監督に就任。前任の大藤監督は春夏合わせて9度も甲子園に出場し、09年夏には43年ぶりの全国制覇に導いた。全国的に有名な名将からバトンを受けたのは、当時30歳だった無名の青年だった。

 通算11度の甲子園優勝という全国屈指の名門だ。甲子園に出場して当たり前。あるOBからは「何やってるんだ。お前じゃ勝てない」と面と向かって言われた。学校に「もう辞めてください」という投書が届いたこともあった。それでも苦しい時は「選手たちの負けたときの表情が思い浮かんだ」。甲子園に届かなかった選手たちの顔を思い出し、自分を奮い立たせた。

 この日の試合開始直前に伊藤寛から「先生、硬いですよ」と言われた。「ばかやろう! この試合にお前たちの将来がかかっとるんだ。硬いのは当たり前だろ!」と笑顔で返すと、張り詰めていたベンチが一気に笑いに包まれた。

 兄貴分のような指揮官は「目標は優勝です!」と言い切った。「うちの監督をやったときから目標は日本一です。監督として初めての甲子園ですけど、全国で一番勝っている高校なので、堂々とやりたい」。今年の夏はまだこれから。高橋監督率いる名門、中京大中京が、聖地で旋風を巻き起こす。【桝井聡】

 ◆高橋源一郎(たかはし・げんいちろう)1979年(昭54)10月2日生まれ。中京大中京(当時中京)では97年センバツで主将として準優勝。その後、卒業した中京大や、三重高、三重中京大でコーチを歴任。09年から母校でコーチを務め、10年秋に監督に就任した。家族は夫人と2女。

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