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仙台育英、東北勢悲願11度目挑戦も白河越えならず

<全国高校野球選手権:東海大相模10-6仙台育英>◇20日◇決勝

 高校野球100年の夏、東北勢初優勝の夢は、またしてもかなわなかった。仙台育英(宮城)は、頼みのエース、先発の佐藤世那投手(3年)が、9回15安打を浴びて10失点。打撃陣は6回に同点に追い付く粘りを見せたが、東海大相模(神奈川)に競り負けた。

 東北100年の夢が、舞い上がる打球とともに遠のいていった。6-6の9回表。マウンドに立つ佐藤世は、9番小笠原を先頭に迎え「気持ちの緩みが少しあったんだと思います」。初球。腕を大きく後ろにふりかぶって放ったフォークが高めに浮き、右翼スタンドへ運ばれた。

 気持ちを切り替えようとしたが、さらに3連打と犠飛で3失点。「野球の怖さというものをあらためて思い知らされました」。1915年(大4)の秋田中から数え東北勢11度目の決勝。やっぱり甲子園は簡単には勝たせてくれない場所だった。

 4回までに毎回の10安打を打たれ6失点。心が折れそうになるところで佐々木順一朗監督(55)の言葉に救われた。「最後のマウンド。支えてくれた人のことを思い、切り替えて投げてこい」。見違えたように5回から8回までは無安打。6回裏には3点差を追いつき大歓声を味方につけた。「同点に追いついてから楽しかった」。その投げっぷりに、球場の誰もが、東北から見守る誰もが、仙台育英ナインの歓喜を夢見た。

 整列後、紀伊海秀外野手(3年)に「お前のおかげでここまで来られた」と声をかけられた途端、涙があふれ出した。「1、2点を取られても動じないピッチャーになっていきたい」。甲子園での経験を胸に、卒業後はプロ入りを目指す。

 閉会式では、大熱戦を演じた仙台育英ナインに大きな拍手が注がれた。佐藤世は「できれば優勝してああいう拍手を味わいたかった」と悔やんだ。69年夏に松山商と延長再試合を戦った青森・三沢。71年夏、閉山した炭鉱の町に光を与えた福島・磐城。3季連続決勝に進み東北のレベルの高さを見せつけた青森・光星学院。この日の戦いも、東北高校野球の歴史に深く刻まれる。

 第1回決勝でサヨナラ負けした秋田中ナインは、涙をこらえ京都二中をバンザイで祝ったという。100年後の仙台育英ナインも一緒だった。佐藤世は整列後すぐに「ありがとう。またいつか投げ合おう」と小笠原と抱き合った。【高場泉穂】

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