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智弁学園サヨナラ初V エース村上が高松商打ち砕く

<センバツ高校野球:智弁学園2-1高松商>◇3月31日◇決勝

 智弁学園(奈良)が2試合連続サヨナラ勝ちで高松商(香川)を下し、初の頂点に立った。延長11回2死一塁でエース村上頌樹(3年)が中堅手の頭上を破るサヨナラ二塁打。大会5試合を1人で投げ抜き、防御率0・38を残した鉄腕右腕は打ってもヒーローに。「このエースがいるなら日本一になれる」と小坂将商監督(38)が見込んだ村上が、日本一の男になった。

 この春最後の1球を打ったのは、この春の初球を投げた智弁学園・村上だった。3・20開幕戦完封のエースが、サヨナラ打で初優勝を決めた。「全部、持っていかれたな」。岡沢主将は、泣きながら笑った。

 1-1の延長11回2死一塁。「投手でなければ中軸を任せてもいい」(小坂監督)と言われる強打のエースの打球が中堅に伸びる。「センターの安西君は守備範囲が広い。抜けてくれ! と祈りました。高橋なら必ずかえってくれると信じていました」。ホームにひた走る一塁走者の高橋と、心はつながっていた。

 防戦の決戦だった。米麦の適時打で追いつかれた8回は「下半身に力が入らなくなっていた」(村上)と打ち明けた。「球を受けていて、しんどいのが伝わってきた」。女房役の岡沢は目で声で励ました。なおも続いた1死二塁で4番を空振り三振、5番を捕ゴロに抑えた。「勝てたのは8回に追加点を許さなかったから」と村上。延長11回、人生初のサヨナラ打で智弁学園の歴史を塗り替えた。

 「センバツは本気で優勝を狙う、と言えたのは、村上がいるから」と小坂監督は言った。これまでもオリックス青山ら好投手を育ててきたが、村上にはどんなときでも投げ抜くタフさがあった。だから本気で怒った。昨秋近畿大会準々決勝で大阪桐蔭に完敗した直後。結果だけでも「どん底に突き落とされた気持ち」なのに、いっそう監督をつらい気持ちにさせたのは村上の態度だった。

 9失点完投負け後のコメントを求められ、顔をしかめた。それが監督は許せなかった。気持ちを切り替えられないのは分かっても、年長者への不遜な態度は許せなかった。学校に戻った後、村上は監督に叱りとばされた。以降、試合中にいら立つことはなくなった。投球も気持ちも制御できるようになっていた。

 「夏も優勝するつもりでやります」と春夏戴冠を誓った。金属バット採用後では昨年の敦賀気比(福井)・平沼翔太(日本ハム)を上回る歴代4位の防御率0・38。全国NO・1を証明した。これからは追われる立場になる。【堀まどか】

 ◆村上頌樹(むらかみ・しょうき)1998年(平10)6月25日、兵庫県生まれ。小1から投手として軟式野球を始め、南淡中では硬式「アイランドホークス」3年時にジャイアンツ杯出場。智弁学園では1年夏から背番11でベンチ入りし甲子園出場。174センチ、78キロ。右投げ左打ち。

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