東北2代目「メガネッシュ」古川原、自己最多15K
<高校野球春季東北大会:東北11-3羽黒>◇10日◇準々決勝◇宮城・利府町中央公園野球場
東北(宮城1位)の2代目「メガネッシュ」、背番号18の左腕古川原将真(2年)が毎回となる自己最多の15三振を奪った。羽黒(山形2位)戦に先発して初回に2点を失ったが、雷鳴による33分間の中断後に配球を変えたのが奏功。8回コールドゲームを3失点で完投した。連覇を狙うチームは11-3と圧勝して、2年連続で4強入りした。
黒縁眼鏡の古川原が、毎回の奪三振ショーだ。8回コールドながら、古川工との宮城県大会準決勝で記録した14奪三振を1つ上回った。4者連続を含む15個の三振は13個が空振り。縦のスライダーをストライクゾーンから落とした。「調子が悪かったけど、踏ん張ることができたのが良かった。15Kは自己最多」と声を弾ませた。9回まで試合が続けば、さらに増えていた可能性が高かった。
2点を失った初回2死二塁で、雷鳴のため試合が33分間中断した。その時間に決め球の1つ、カーブを狙われていることを察知した。「(中断の)ちょっとの間合いが良かった」と“怪投”を快投に変えた。再開後の2回に1点を許したが、普段は見せ球の速球を多投。追い込んでからスライダーで空を切らせた。
大会直前の6日の紅白戦。変化球ばかりに頼り、2桁背番号の控え選手に打たれた。そこで気が付いた。「状況によって、投球を変えていかなきゃいけない」。この日は3回以降、打者のスイングや投球への反応を頭の中に入れた。中断も味方にして配球を変えるなど、春の大舞台で早速、試合中に修正してみせた。
背番号は18。同じ2年生左腕葛岡仁が1歩抜け出しているため、エースナンバーを譲っているが「自分の役割をするだけ。背番号はマウンドに立てば関係ない」と気にしていない。昨夏の甲子園マウンドに上がった古川原に、我妻敏監督(35)は「経験を力に変えてくれないと、何のために投げさせたのか分からない」と、まだまだ成長することを期待している。
応援団から「メガネ、メガネ」の声援が送られる。「眼鏡でいじられる」と笑うが、「メガネッシュ」の愛称も「気にかけてくれるのだから、それはうれしい」と言う。目に入れる際の煩わしさなどから、コンタクトレンズは使わない。2代目もやはり、黒縁がよく似合う。【久野朗】
◆メガネッシュ 東北高OB、ダルビッシュ有(30=レンジャーズ)と同期だった右横手投げの真壁賢守氏(31)が、03年夏の甲子園で黒縁の眼鏡をトレードマークに活躍して「メガネッシュ」、「マカベッシュ」の愛称でファンから親しまれた。右腕左腕の違いはあるが、古川原も黒縁眼鏡をかけて投球する姿から、2代目「メガネッシュ」の愛称がついた。