飛龍、監督ら3人の解任処分撤回せず 校長が明言

 静岡・飛龍野球部の監督、部長、コーチ計3人が、公式戦での長時間の抗議を理由に解任された問題で7日、同校が処分撤回の意思のないことを示した。

 日刊スポーツの取材に応じた井出啓之校長(61)は、解任騒動がネット上で全国的な話題になったことに、「反響の大きさには驚いています。賛否両論あるとは思いますが、教育上、目をつむることはできない。(撤回は)ありません」と話した。前監督らは現在も教職員として同校に在籍しているが、井出校長は3人に対し、今後3年間はグラウンドへの出入りを禁止し、野球部の指導に当たらせないことも明らかにした。

 父母会などから説明会の開催を求める動きも出ている。だが井出校長は「他の部でもやっていませんし、野球部だけやるというわけにもいきません」と話し、説明会を行わない方針を示した。また解任直後の10月中旬には、野球部員から処分撤回を求める嘆願書を受け取ったことも明らかにした。

 今回の処分に関して、同校野球部後援会からは「監督は人望の厚い方。子どもたちのためには、監督が戻ってきてくれれば一番いいと思います」と再任を望む声が上がっている。一方で、同後援会の幹部は「学校の判断ですから、推移を見守るしかない状況です」と現状では静観の構えを示した。

 

 ◆騒動の経緯 9月30日の秋季県大会準々決勝、常葉大橘戦(清水庵原球場)で起きた。球場にいた高野連関係者によると、9回裏、飛龍の攻撃中、右中間フェンス際に大飛球が上がった。審判はフェンスを越えていないインプレーと判定したが、本塁打と思い込んだ打者走者がスピードを緩め、三塁でタッチアウトになった。直後、監督らが選手を通して、審判団への抗議を開始。選手をベンチに引き揚げさせるなどし、試合が約22分間中断した。長年、高校野球に携わってきた同関係者も「こんなことは初めて」と話す異例の騒動になったが、試合は再開して飛龍は0-3で敗退していた。