大阪桐蔭・西谷監督の原点は日本ハムの育成システム

<センバツ高校野球:大阪桐蔭5-2智弁和歌山>◇4日◇決勝

 大阪桐蔭の西谷浩一監督(48)が春夏6度目の優勝を飾り、PL学園・中村順司監督に優勝回数で並んだ。智弁和歌山との決勝戦では7回にエンドランをしかけ、1番宮崎の勝ち越しタイムリーを演出。投打でスキを見せない戦いで、PL学園以来、史上3校目の春連覇に導いた。「昨年の夏に敗れてから、日本一を目指してやってきた。達成できてうれしい。私がどうこうではなく、大阪桐蔭として、(優勝回数を)重ねられたのがうれしい」。穏やかな語り口は試合後も変わらなかった。

 48歳の若さながら、甲子園通算勝利は「49」となった。プロで活躍する選手も多く、選手育成には定評がある。指導哲学で大きな影響を受けたのは、日本ハムの「育成システム」だった。就任当初は「へたくそは試合に出なくていい」という考えを持っていた。「練習で試合に出られるラインまで持ってこい」。選手にはそう言っていた。ふと目にした記事が転機になる。「2軍の若い選手に、年間の打席数を保証するというのを読んだ。プロ野球でも、そんなことをするのかと思った。目からうろこが落ちた。高校生なら、なおさら失敗も成功も経験したほうが伸びるんじゃないか。紅白戦を増やしたり、平日のナイターもやった。チャンスを渡し、そこからはい上がってくるほうがいいと今は思う」。

 一般的に控え選手で構成するチームの試合を「B戦」と呼ぶことがあるが、西谷監督は「育成試合」と表現する。「以前もメンバーを外れた子もよくやってくれていたが、今はチャンスをもらっていないということはない。一体感は年々、増している」。試行錯誤で、選手が伸びる指導に取り組んでいる。2年連続で胴上げ投手になった根尾が指揮官について、こう語る。「ずっと練習や試合のことを考えている。いつ寝ているのか。すごいと思う」。西谷監督にとっては特別なことではない。「たくさんある学校から、大阪桐蔭を選んでくれた。大切な子どもを預かっている」。100回大会の節目を迎える今夏は、史上初となる2度目の春夏連覇がかかる。【田口真一郎】