大阪桐蔭・根尾が主役、二刀流ネオジェネレーション

<センバツ高校野球:大阪桐蔭5-2智弁和歌山>◇4日◇決勝

 大谷2世がこの春の主役になった。大阪桐蔭が智弁和歌山との近畿対決を制し、史上3校目の春連覇を成し遂げた。今秋ドラフト候補の「二刀流」根尾昂内野手(3年)が投げては140球完投、打っては2安打と投打にチームをけん引。史上初の2年連続センバツ優勝投手となった。

 根尾はやっと表情を崩した。9回2死一塁。最後の打者を一ゴロに打ち取り、ベースカバーに入った。自分の足で最後のアウトを決めると、グラブを突き上げ笑った。「自分の力以上のものを甲子園が出させてくれた」。9回から登板の昨年に続き、今年も決勝のマウンド。史上初の2年連続優勝投手になってみせた。

 前日3日の準決勝では5回から登板し、延長12回まで投げた。公式戦初の連投となったこの日は「昨日よりは球の勢いがなかった」と不安もあった。ブルペンでそれを感じ取った西谷監督から「調子悪いのか」と聞かれたが「いつもと同じです」と言い切った。投打の軸としての重圧と闘っていた。3日の準決勝では9回に同点のホームを踏んだ際、ベンチに帰ると泣いていたという。

 投手も野手も「両方やるのが当たり前」と根尾は言う。部屋にはポールなど、ストレッチ用の器具があふれている。全て自費で用意。体が重ければ、翌日10分早く起きてケアする。疲れがたまりそうなら、寮でプロテインや野菜ジュースを摂取する。試験勉強も逆算して、移動のバスの中で他の選手が眠る横で教科書を開く。

 新チームが始まるとき、「無敗」を目標に掲げた。しかし昨秋の神宮大会準決勝で、創成館(長崎)に敗戦。「春連覇」を新たな目標にして、チーム一丸で歩んできた。「もう1度、春の優勝旗が取れたので良かったです。取り返したいという気持ちが強く芽生えていました。優勝旗を見て『取り返したんだな』と実感しました」。次ににらむのは春夏連覇。夏もきっと主役になる。【磯綾乃】

 ◆根尾昂(ねお・あきら)2000年(平12)4月19日、岐阜県生まれ。小2から「古川西クラブ」で野球を始めた。3歳から始めたスキーでは、中学2年時にアルペンスキー回転で日本一となり、世界大会にも出場した。最速148キロ。通算21本塁打。177センチ、78キロ。右投げ左打ち。

 ◆2年連続胴上げ投手 センバツでは根尾が初めて。夏の大会では31~33年吉田正男(中京商=3年連続)と47、48年福嶋一雄(小倉)がいる。

 ◆背番号6の胴上げ投手 夏の大会では97年智弁和歌山の清水昭秀がいるが、春は初めて(昨年の根尾は背番号7)。

 

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  • 大阪桐蔭・根尾の甲子園登板成績
  • 17年4月、優勝を決めガッツポーズする大阪桐蔭・根尾(左)
  • 智弁和歌山対大阪桐蔭 力投する大阪桐蔭先発の根尾(撮影・奥田泰也)