日大鶴ケ丘・斎藤152キロ必死に受けた3カ月捕手

<半端ない夏 日大鶴ケ丘・斎藤北斗捕手(3年)>

<高校野球西東京大会:日大三5-3日大鶴ケ丘>◇30日◇決勝◇神宮球場

 「入るな…」。3-3の9回1死一塁。勝又の154球目を捉えられた。相棒で主将の斎藤の願いは通じず、無情にも白球は左翼席に吸い込まれていった。あと1勝で甲子園。サヨナラ2ランで夢は消えた。

 プロ注目投手の勝又とバッテリーを組むようになったのは4月下旬。チーム事情で捕手を任された。捕手経験はあったが、松戸中央ボーイズからずっと中堅を守ってきた。「不安しかなかった」。当初は最速152キロの直球をなかなか捕球できなかった。勝又に感情をあらわにされたこともあった。でもチームのため、そして勝又のために-。高めの速球対策はマシンを使い、ショートバウンドは控え選手に投げてもらった。食事やバスは一緒に過ごし、距離を縮めた。

 朝練参加のため毎朝3時50分に起床する。突き指や腫れにも耐えてきた。この日で最後となる勝又とのコンビに「今までで一番のピッチングをしてくれた。下手くそな捕手だったけど、信頼してくれてありがとう」。少し甘酸っぱく最高な青春はこれから先も色あせない。【山川智之】