V鳴門エース西野、昨夏の聖地経験胸に11K/徳島

<高校野球徳島大会:鳴門8-1富岡西>◇決勝◇30日◇オロナミンC球場

鳴門の左腕エース西野知輝(3年)が投打に大活躍し、チームに2年連続13度目の“夏”をもたらした。

4回表1死満塁、自らのバットで勝ち越しの右前2点滴時打を放ち、投球のギアを上げた。4回から7回まではパーフェクト。そして見せ場が8回に訪れる。連続四球を与えて、無死一、二塁。「僕は後半に捕まることが多かったので…」。4点リードの勝負どころで、腹を据えた。決め球のスライダーを信じ、3者連続三振で切り抜けた。

昨夏の甲子園が原点だ。2年ながら背番号1を背負い、初戦で花咲徳栄に負けた。7回まで2失点と踏ん張ったが、8回以降に7安打を浴びて6失点。「自分のせいで負けた。だから、新チームは自分が引っ張ろうと思いました」。

冬場は走った。学校近くの妙見山と砂浜へ。全体練習以外も足を運んだ。「鳴門は練習がきついから」。入学時、ぶかぶかで買った制服のズボンが、最後の夏にはちょうどよくなった。

決勝戦は被安打4で11奪三振の自責点0。「大会前から1人で投げ抜こうと決めてました」。徳島大会5試合44イニングのマウンドを守り抜いた。森脇稔監督(57)は「序盤は球数がね。“どんどんストライクを投げろ。球数投げるより、1球で打たれた方がええ”と話をして、よくなりました」とエースの力投に目を細める。たくましくなった西野は今夏こそ、まずは甲子園1勝をつかみ取るつもりだ。

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  • 2年連続13度目の夏の甲子園出場を決め、歓喜に沸く鳴門ナイン(撮影・加藤裕一)