大阪桐蔭・吉安の打撃はレッズ秋山を連想/田村藤夫

  • 東海大相模対大阪桐蔭 1回裏大阪桐蔭2死一、二塁、右前へ先制適時打を放つ吉安(撮影・清水貴仁)

<プロ目線>

<甲子園高校野球交流試合:大阪桐蔭4-2東海大相模>◇17日◇甲子園

日刊スポーツ評論家が甲子園交流試合に出場する逸材をチェックする「プロ目線」では田村藤夫氏(60)が、大阪桐蔭・吉安遼哉捕手(3年)を解説した。

  ◇    ◇    ◇

高校野球ファン垂ぜんのカードで、光ったのは大阪桐蔭・吉安のバッティングだった。プロ注目野手は両チームに複数人いたが、吉安の3安打した結果といい、非凡さのある内容といい、今後に期待を抱かせるものがあった。

3安打はライト前、レフト前、センター前と打ち分けている。第3打席、外の直球をレフト前へ強い打球で運んだスイングが出色。左打者がレフト前に運ぶ打撃はよく目にするが、多くの場合はボールに当てながら、一塁へ走りだすようなスイングになりがち。

吉安は、しっかり引きつけてライナーで会心の打球を飛ばしていた。これは、タイミングの取り方が優れているからで、タイミングの取り方は教えてすぐにできるものではない。西武森のように足を上げてはいるが、森はフルスイングに対し、吉安はコンパクトだ。左方向への強い打球という一連の動きからは、レッズ秋山を連想させた。

第1打席で左投手の甘いスライダーを引っ張ったが、これが力のあるストレートならどう対応したか見たかった。率直に言って、捕手としてプロを前提に評価するなら、キャッチングなどに課題があると感じた。どこを守れるのか細かい情報はないが、言えるのは、あのバッティングはアベレージ打者への成長を予感させた。

東海大相模では鵜沼の闘志あふれる姿勢がいい。投手に向かっていく気迫は、表に出すか内に秘めるかの違いはあるが、プロでも必要。自分のタイミングでボールを捉える技術も備えていた。智弁和歌山の小林は、明石商中森と印象が重なるほど能力の高さを感じさせる右の本格派。回転のいいボールを投げていた。

今年は交流試合という特別な大会になったが、真夏の甲子園で夢中になってプレーする高校生を見て、試合ができて本当に良かったとしみじみ感じた。(日刊スポーツ評論家)