大館鳳鳴5年ぶり春4強入り 木村拳士2試合連続完投で湯沢翔北を撃破
<春季高校野球秋田県大会:大館鳳鳴3-2湯沢翔北>◇3日◇準々決勝◇こまちスタジアム
秋の悔しさを晴らして、5年ぶり春の県4強入りを決めた。大館鳳鳴が3-2で湯沢翔北を撃破。昨秋の県大会準々決勝で敗れた相手に借りを返した。先発した2年生左腕、木村拳士(たかし)が9回を5安打2失点で、2試合連続となる完投勝ちを飾った。持ち味の制球力を最大限に発揮。緩急を駆使した投球がさえ渡った。秋田中央は延長12回に一挙5得点を奪って、由利との乱打戦を制した。
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背番号10の木村が、2試合連続の完投劇を演じた。3-2の9回2死一、二塁。カウント2-0。124キロ直球を投げ込み、最後の打者を右飛に打ち取った。113球の力投。淡々と投げ続けた左腕は、笑顔で仲間とグラブタッチを交わした。「意識はあまりしていなかったけど、秋負けた相手に勝てた。ベスト4に入れたのが素直にうれしい」と大粒の汗をぬぐった。
持ち味全開だった。初回の立ち上がり。打者3人をわずか8球で料理。ストライク先行を心がけ、4回2死までノーヒット投球。5、7回に失点するも最少失点で踏みとどまり、決して崩れることはなかった。最速127キロの直球に最遅92キロのカーブを織り交ぜ、決め球のチェンジアップを低めに集めた。「低めの意識を持ちながら、リズム良く投げることができた」と納得の表情を浮かべた。
この日はマウンドさばきも光った。2回無死二塁。三塁線のバント処理に素早く反応。三塁封殺を奪った。「普段のノックからバント処理はやっている」と練習の成果を発揮した。その直後には、一走をけん制で挟殺プレーに追い込んだ。この試合、2度のけん制死でピンチを切り抜け、自らを助けた。「けん制は中学で教わったので、高校では特に練習していない」と振り返ったが、足を上げる高さ、首の方向、タイミングなど、けん制のパターンは5種類以上あるという。
前戦5月31日の秋田工戦では6安打完封勝ち。味方のバックも2試合連続無失策で2年生左腕を支える。「後ろには3年生がいて、安心感を持って投げられているので、どんどん打たせて取っていきたい」。次戦は6日、秋田中央と対戦する。「チームの目標は夏の甲子園出場なので、まずは春の県で優勝したい」と力を込めた。チームの勝利のためにマウンドで躍動する。【佐藤究】