奄美から甲子園!離島の星・大島がセンバツ出場有力 エース大野が3戦完投

  • 3回裏大島1死二、三塁、右前先制適時打でガッツポーズする大野稼頭央(撮影・菊川光一)
  • 大島・大野稼頭央の九州大会成績

<高校野球秋季九州大会:大島3-0興南>◇準々決勝◇9日◇平和リース球場

離島勢として初めて鹿児島県大会を制した大島が興南(沖縄1位)を下し、14年以来2度目となるセンバツ出場を確実にした。プロ注目の最速146キロ左腕、大野稼頭央投手(2年)が121球を投げ、完封勝利。引き分け再試合を含む3戦28イニングで467球の鉄腕ぶりを発揮し、4強入りに貢献した。

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大島の鉄腕大野が、投打の活躍でセンバツ出場当確の4強入りに貢献した。最後の打者をスライダーで空振り三振に仕留めると、両手を広げてガッツポーズ。「ホッとしたのとうれしさが一気に出ました。甲子園に1歩近づけて、うれしかった」と感極まった。

甲子園優勝経験のある興南打線を、高校で覚えた「一番の武器で生命線」という90キロ台のスローカーブで翻弄(ほんろう)した。奪三振は2も、打たせてとって散発6安打に封じた。打っては3回に先制適時打。「今日は100点満点」と公式戦2度目の完封勝利に笑みがこぼれた。

6日の大分舞鶴との1回戦は、引き分け再試合の死闘となった。186球を投げ、翌7日は160球で連続完投。疲れは残ったが、8日の休養日はノースローでうなぎを食べて疲労回復に努めた。1週間500球以内の球数制限は意識したが、塗木哲哉監督(54)の「気にせず、どんどん投げろ」というゲキに応え、この日は121球で9回まで投げ抜いた。3戦で467球。中学3年時に陸上競技の3段跳びや、駅伝メンバーで県大会に出場した身体能力とスタミナが生きた。

名前の「稼頭央」は、父がファンという西武松井稼頭央1軍ヘッドコーチが由来で、大野も尊敬する。21世紀枠で甲子園に初出場した14年センバツは、アルプススタンドから応援。「ここでプレーできたら」と願った聖地で、大野が離島の星になる。【菊川光一】

◆大島 1901年(明34)創立で奄美大島にある県立高校。普通科に709人(女子363人)が学ぶ。野球部は73年創部で部員37人(マネジャー5人)。甲子園は14年春に21世紀枠で初出場した1回で、優勝した龍谷大平安に1回戦敗退。主な卒業生は山口達也NHKアナウンサー。所在地は鹿児島県奄美市名瀬安勝町7の1。黒木哲二校長。

◆大野稼頭央(おおの・かずお)2004年(平16)8月6日生まれ、鹿児島・奄美大島の龍郷町出身。戸口小1年からソフトボール、小3から同町少年野球チームで野球も始める。龍南中3年時の同町選抜チームで離島甲子園出場。大島では1年秋からエース。遠投100メートル、50メートル走6秒5。目標のプロ野球選手はDeNA今永、楽天松井、早川。175センチ、63キロ。左投げ左打ち。