【センバツ】大阪桐蔭西谷監督は選手に同点を怖がらせず「延長10回」タイブレークが与えた影響

  • 3月28日、能代松陽対大阪桐蔭 7回表能代松陽1死一、二塁、マウンドに集まり伝言を聞く大阪桐蔭ナイン
  • 3月28日、能代松陽対大阪桐蔭 7回裏大阪桐蔭1死三塁、スクイズを決める村本
  • 3月28日、能代松陽対大阪桐蔭 9回表能代松陽無死一塁、齋藤のバントが一塁前の小飛球となり一走虻川は帰塁できず併殺となる
  • 3月31日、山梨学院対広陵 9回表山梨学院無死、星野泰輝は左前打を放つ。投手高尾響

「ポスト・コロナ」を実感させる甲子園だった。1日に山梨学院の初優勝で終幕したセンバツ。

19年夏以来の「声出し」応援が全面解禁になり、マスク着用も個人判断に。球場には各校の名物応援が本来の形で響き、グラウンドの選手を鼓舞した。また、タイブレーク制度が従来の延長13回スタートから延長10回に早まった。現場の反応を踏まえて、振り返った。

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増えると思われたタイブレーク(TB)は3試合あった。TB導入後の甲子園9大会目で昨春と並んで最多。3試合とも最初の10回でサヨナラ決着した。

延長10回に早まった影響を現場は感じていたのか。準決勝の山梨学院-広陵は8回まで1-1。広陵・中井哲之監督(60)は「TBも覚悟した」。125球投げていたエース高尾響(2年)を続投させ、結果的に勝ち越された。TBの守りはバント処理が重要。守備がうまい高尾を代えるリスクもあった。延長13回ならまた別の展開になったはずだ。

能代松陽に1-0で逃げ切った大阪桐蔭・西谷浩一監督(53)は「TBはあまりよぎらなかった」。後攻のため、選手には「最悪、9回裏まで考えていい」と同点を怖がらないよう伝えた。選手にTBを意識させることはなかった。裏を返せば、9回で必ず決着させるという決意だろう。

試合の流れがリセットされ、互いに好機が用意されるTB。「延長10回」を見据えた心理的、戦略的な影響は興味深い。