日大山形・菅井颯投手、佐々木朗希ばり足を高く上げるフォームで「圧倒的1番に」/東北注目選手
27日、夏の甲子園の東北6県代表が出そろった。日刊スポーツ東北版では「甲子園、この選手に注目!」と題し、各県の注目選手を紹介する。第2回は日大山形のエース右腕・菅井颯投手(3年)。ロッテ佐々木朗希投手(21)同様の足を高く上げるダイナミックなフォームから最速147キロの直球を軸に、スライダー、カーブ、チェンジアップを投げ分け、凡打の山を築く。菅井がエースの自覚を胸に聖地のマウンドに立つ。
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「日大山形は『打』のチームだと思われているが、守りでも存在感を出せるような“圧倒的な1番”になりたいと思う」。春の県大会でそう語っていたエースはこの夏、33イニング455球を投げ抜いた。
昨夏は「11番」をつけ、準々決勝・新庄東戦に先発。5回1/3を投げ、6安打1失点と好投したものの、試合は0-4で敗戦。この試合で右ひじの痛みがピークに達し、疲労骨折の診断を受けた。「自分の身体が弱いことにふがいなさを感じた。そこから、『もっと強くなって、自分が抑えよう』と」と、エースを受け継ぐ覚悟を持った。2、3カ月休むことになったが、その間にけがをしない身体づくりに注力。冬は新フォーム習得に加え、体重を72キロから80キロまで増量。下半身が安定し、球速も2年秋の136キロから147キロまで伸びた。
直球に自信を持てたことで投球の幅が広がり、変化球も生きるようになった。今夏は5試合で33安打を浴びながらも、全球種を駆使して粘投。決勝では9安打4失点も「中盤まではカーブを捉えられていた。『初球の変化球を狙われているな』と感じたので、後半からは真っすぐを多めに」など、試合中に自身で修正を重ね、完投勝利で王座を奪還。“圧倒的な1番”への道を1歩ずつ歩んでいる。
受け継いだ“日大山形の1番”を聖地で表現する。菅井は「去年の3年生や一昨年の3年生のいろんなピッチャーに変化球やマウンドさばきを教えてもらった。支えてくれた先輩方には感謝しかないです」。なかでも昨年のエース右腕・大類興雅さんとは今でも連絡を取り合い、夏の大会中は毎試合「頑張れよ」とメッセージをもらっていた。菅井は昨夏を振り返り、「大類さんに涙を流させてしまって申し訳ないという気持ちと、今年は大類さんの分まで勝つという気持ちが大きかった」。先輩の涙を優勝のモチベーションにしてつかみ取った聖地では「自分が投げて勝ちたい」と宣言。先輩たちの悔し涙を笑顔に塗り替えてみせる。【濱本神威】