【センバツ】健大高崎・箱山遥人主将がデカいことを言ったわけ ホテルへの御礼にも大きさにじむ
4月1日になった。街にフレッシュマンの姿があふれる。日刊スポーツにも新入社員がやって来た。そのうちの1人が言った。
「箱山主将のような人間になれるよう、頑張ります!」
箱山主将とは、3月31日のセンバツ高校野球決勝で日本一になった、高崎健康福祉大高崎(群馬)の箱山遥人捕手(3年)のこと。歓喜から一夜明け、携帯電話には100件くらいのお祝いが届いたという。
2月の千葉・館山合宿で大きなことを言っていた。
「選手宣誓して優勝インタビューして、自分の大会ではないですけど、自分が主役になれるような大会にしたいです」
緑の香りが濃いグラウンドで迷いなく、濁りなく、言い切った。抽選に外れた選手宣誓以外が、現実になった。振り返る。
「自分は昔から、けっこう大きなことを言って自分にプレッシャーをかけて、有言実行できなかったらちょっと恥ずかしいというか、大口をたたいているって思われるんで。それが嫌だから、自分にかまをかけて、成長するように」
そこまでするからつらくなることもあるけれど、限界値は確実に上がる。
「チームとしても日本一を取るって大きいことを言って、注目されて、プレッシャーの中で戦って。それで勝って日本一を取れたというのは、普通の日本一よりも価値のあることだと思います」
それでも春の甲子園では「力がついてきたことを証明するだけの大会に過ぎない」と、また自分に重圧をかける。「信念を続けていけば、夏の苦しい大会でも試合でも、力は発揮できると思うので」。
個人としては高校日本代表候補にも選ばれ、ますます大きくなって戻ってくる。お世話になった大阪市内のホテル。チームを代表してあいさつした。
「また夏、戻ってこられるように、自分たちの後輩も戻ってこられるように、頑張っていきます」
自分たちだけじゃない。この場で「後輩たち」とサッと言えるのが、そういう時間軸で言葉を出せるのが、箱山の大きさだ。新風吹く4月、組織がまた強くなるチャンス。堂々と群馬へ戻る。【金子真仁】