旭川実のプロ注目右腕・田中稜真が6年ぶりベスト4貢献 カツ丼断り節制の成果表れた/北北海道
<高校野球北北海道大会:旭川実6-4士別翔雲>◇15日◇準々決勝◇旭川スタルヒン
北北海道大会で旭川実が6-4で昨夏4強の士別翔雲を振り切り、6年ぶりのベスト4進出を決めた。最速152キロを誇るプロ注目のエース右腕・田中稜真投手(3年)が、9回133球で11安打を浴びながらも10奪三振4失点(自責2)で完投。打撃でも6回に公式戦3本目の左越えソロ本塁打を放つなど、4打数2安打2打点の活躍を見せ、4強一番乗りに貢献した。
2点リードの9回表2死、カウント1-2。士別翔雲の最後の打者から鋭く落ちるスライダーで空振りを奪うと、マウンドの田中が1回転しながら雄たけびを上げた。気温30度の中で9回133球。11安打を浴びて4点を失ったが、白星は手放さなかった。「しんどい試合でしたが、最後に勝ちきれて、強さが出せて良かった」。絶対エースが、額の汗をふきながら言った。
序盤から全力で腕を振って140キロ台後半の直球を連続で投げたが、2回表には2連打と暴投などで先に1点を失った。その裏には自ら右中間を破る適時二塁打を打って同点。3回には味方から3点リードをもらったが、5回と6回に1点ずつを返され、1点差まで追い上げられた。「暑さもあって、1イニング1イニング重ねるごとに少しずつ疲れが蓄積された」(田中)。7、8回の直球は130キロ台まで落ちたが粘り続けた。
6回裏には、米田達哉部長(32)にベンチで「ホームランなら楽に帰ってこれるぞ」と指示を受け、注文通りのソロを左翼の芝生席中段にたたき込んだ。正念場の9回は球速を140キロ台に戻し、3人でピシャリ。この日は日本ハム、ヤクルト、中日、DeNAの4球団のスカウトが投球を視察した。4人態勢で球場に訪れたヤクルトの伊東編成部長は「力強いストレートが見られた。悪いボールがなかった」と評価した。
今春から試合前日の験担ぎだったカツ丼の誘いを断ってきた。試合の1週間前からはタンパク質と炭水化物を多く摂り、脂ものは避ける。準々決勝の前日14日も練習後に5人がカツ丼店に向かったが、田中は帰宅。野菜とひき肉の乗ったタコライスを口にし、試合に備えた。節制の効果もあって昨夏4強の難敵・士別翔雲を下し、10年夏以来の甲子園にあと2勝に迫った。「試合前日は特に気を付けています。ラーメンとか食べたいですけど、高校野球が終われば食べられる。今は我慢時」と田中。笑顔で思う存分食べられる日まで、エースで主将の戦いは続く。【中島洋尚】
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