近大新宮・響与一「大舞台で活躍できるよう」強豪相手に名に恥じない34球で高校野球全う/和歌山

  • 高校野球和歌山 決勝 智弁和歌山対近大新宮 近大新宮・響与一=2024年7月29日、和歌山市紀三井寺
  • 智弁和歌山対近大新宮 閉会式で整列する準優勝の近大新宮の選手たち(撮影・前田充)
  • 智弁和歌山対近大新宮 智弁和歌山に敗れ準優勝に終わり、悔しそうに引き揚げる近大新宮の選手たち(撮影・前田充)
  • 智弁和歌山対近大新宮 力投する近大新宮先発の響(撮影・前田充)

<ラストカレンダー~夏の終わり~ 近大新宮・響与一投手(3年)>

<高校野球和歌山大会:智弁和歌山4-2近大新宮>◇29日◇決勝◇和歌山市紀三井寺

近大新宮のエース響与一(きょう・よいち)投手(3年)が今夏初先発で躍動した。昨夏は背番号16でベンチ入りし、3試合で先発を務めた右腕だが、6月の体調不良でパフォーマンスを落とし、今夏の投球数はわずか23球にとどまっていた。チームの大躍進を支える他の投手を見守りながら、「順番が来たら一生懸命やるだけ」と気持ちを整理していた。そんな中、決勝の先発を任された背番号1は「やってやるぞ」と全34球に気迫を込め、強力な智弁和歌山打線を相手に2回1/3を無失点に抑え、大役を果たした。

「与一」という名は、『平家物語』の登場人物、那須与一(なすのよいち)にちなんで名付けられた。同人物は、屋島の戦いで平家の小舟に掲げられた扇の的を、源氏の代表として射抜くことに成功し、その名を馳せた。父・成弘さん(49)は「プレッシャーのかかる大舞台でも活躍できるように」との願いを込めて息子にこの名を授けた。

「楽しむことができた」と決勝の舞台を振り返った与一。その名に恥じない投球で高校野球を全うした彼は、進学後は野球を辞め、「大学ではたくさん勉強したい」と目を輝かせる。新たな舞台に向けて、与一の挑戦が始まる。【斉藤龍平】

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