今春センバツで準優勝したエース大沢志意也(3年)だったが、全5試合で4完投した疲労がたたって、甲子園後はスロー調整を余儀なくされた。腕試しとなった6月14日、大阪桐蔭との練習試合で8回6失点(自責4)し「もっと制球を意識しないと」と痛感。大脇英徳監督(40)は「以降、真っすぐ中心に丁寧に投げるようになった」。センバツで光った低めの制球力を取り戻し、混戦の地方大会を勝ち抜く。
144キロ右腕の佐藤世那(3年)は現在「充電」中だ。6月5日の東北大会、盛岡大付(岩手)戦で4回 2/3 、8安打7失点KO。それ以降は練習試合に登板せず、ブルペンでも立ち投げのみ。昨秋故障した右肘の状態をみながら、下半身強化に努めている。「不安はありますが、6月中はトレーニングをしっかりやり、大会前に整えていければ」と話した。
綾部翔(かける)投手(3年)が緩急自在に三振の山を築く。最速145キロの直球と「巨人の杉内を意識している」というチェンジアップとのコンビネーションで、今春の県南大会代表決定戦(対牛久)では14奪三振をマークした。夏は過去5度決勝ではね返されており、「今年は必ず甲子園に行く」とエース右腕は力強く話していた。
身長185センチの大型右腕、山田知輝投手(3年)は打者としても4番を務める。昨春センバツでは、最速140キロの直球とスプリットを武器に8強入りに貢献。しかし、その後は3季連続で高崎健康福祉大高崎に敗退し甲子園出場を逃しただけに、雪辱の思いは強い。昨年末に痛めた右肘も完治。「最後にリベンジしたいです」。二刀流エースが大暴れする。
江口奨理(3年)は球威で圧倒するタイプではないが、丁寧な組み立てで昨秋以降、県内無敗を誇っている。「昨夏(3回戦敗退)の借りは夏にしか返せない」と気の緩みはない。抽選会で渡辺主将が口にしたのと同じ言葉を話した。江口を中心にした堅固な守備で死角は見当たらない。
プロ注目の本格派右腕が昨夏のリベンジに燃える。専大松戸(千葉)のエース原嵩(しゅう)投手(3年)は184センチの上背から投げ下ろす最速148キロの速球に加え、阪神藤浪を参考にしたスライダーが武器。今春関東大会は初戦で高崎健康福祉大高崎(群馬)に敗れたが、プロ8球団が視察に訪れた。県準Vだった昨夏は背番号「1」を背負った。だが大会直前に母昭子さん(享年50)をがんで亡くし「心の整理がつかず、調子を崩してしまった」。3試合の登板にとどまり、エースの役割を果たせなかった。今春の県大会は他の投手育成のため登板機会はゼロ。それでも1日200球の投げ込みで球威が増し、ツーシームも習得した。
「昨年のようなことを繰り返してはいけない」と松戸市から初の甲子園出場を誓った。
1年夏から甲子園のマウンドを経験したエース左腕、大江竜聖投手(2年)が、3季連続の甲子園を狙う。今春センバツでは、初戦の松山東(愛媛)戦で自己最速を更新する142キロをマーク。毎回の16三振を奪ったが5失点で敗れ、「この悔しさをずっと忘れないで、夏にまた戻ってきたい」と誓った。持ち前の制球力に、鋭いスライダーも武器になる。
栗田海人投手(3年)はプロ注目の最速143キロ右腕だ。エースとなった昨秋の都大会3回戦、東海大菅生戦は味方の6失策もあって8失点したが、今春まで公式戦4試合すべて2失点以内。夏に向けて制球力アップに取り組み、さらに安定感が増した。最大の武器は落差十分のフォーク。「たくさん三振を取って勝ち進んでいきたい」と気合十分だ。
最速149キロを誇る小笠原慎之介(3年)は「最後ですから、どの高校よりも長く野球をやっていたい」と力を込めた。1年冬に左足首を痛め、その影響で左肘まで故障。昨夏の甲子園では救援で1回1/3を投げただけ。ようやく本来の力を取り戻し今春の関東大会準決勝、浦和学院戦では最速を3キロ上回る149キロを出した。「三振の取れる直球が魅力」(広島苑田スカウト部長)と評価する武器がさらに進化した。
茶谷健太投手(3年)が初の甲子園に導く。最速145キロの直球に加え、変化球は落ちる球だけでフォーク、スプリット、チェンジアップの3種類を投げ分ける。この春にはツーシームを覚え、投球の幅も広がった。6月20日の練習試合では強豪桐蔭学園(神奈川)を2安打完封。「甲子園に出場するために山梨に来た」と、神奈川出身の右腕は力を込めた。
今秋ドラフト候補に成長した高橋奎二投手(3年)が最後の夏に臨む。右足を高く上げるライアン投法で昨年センバツ制覇の原動力になったが、気持ちの弱さが弱点。6月のトレーニングで目標タイムを切れず、原田英彦監督(55)に甘さを叱られた。目の色を変えて練習に励むようになり、監督も「見違える球を投げるようになった」。今年のセンバツは初戦で敗れ「自分を磨く努力をしないと勝てない」(高橋)と実感。3季ぶり甲子園制覇を狙う古豪の先頭に立つ。
プロ12球団注目のドラフト上位候補右腕、森下暢仁(まさと=3年)が、全国NO・1右腕の県岐阜商・高橋純平(3年)に負けない投球で2年ぶりの甲子園出場を目指す。「チームワークを大事にし絶対行きたい」と気合十分。高校入学から投手と野手を兼務し、昨夏はソフトバンクにドラフト4位指名されたエース笠谷がいたため三塁手を務めていた。昨秋から主戦を任され才能が開花。本格的な投手歴は1年弱ながら3月に自己最速148キロをマークするなど急成長し、高橋に並ぶドラフトの目玉に浮上した。
今秋ドラフト候補で、6月5日の東北大会、盛岡大付(岩手)戦で右足小指を骨折した平沢大河遊撃手(3年)が、7月4日の盛岡四(岩手)との練習試合で復帰する予定だ。「不安は全くない」と自信たっぷり。県大会初戦11日へ向け、「甲子園に行けるよう、集大成を出せれば」と意気込んだ。
今春センバツ8強のリードオフマン宇草孔基内野手(3年)は、50メートルを6秒0で走る俊足が持ち味だ。1回戦の米子北(鳥取)戦では個人1試合最多タイとなる5盗塁を記録したが、チームは細かいミスが続き準々決勝で敗退した。大会後は相手のミスを誘うような走塁練習に力を入れてきた。「頭を使った走塁を意識している」と話すようにいやらしい1番打者として夏の大会を迎える。
今春センバツ8強のリードオフマン宇草孔基内野手(3年)は、50メートルを6秒0で走る俊足が持ち味だ。1回戦の米子北(鳥取)戦では個人1試合最多タイとなる5盗塁を記録したが、チームは細かいミスが続き準々決勝で敗退した。大会後は相手のミスを誘うような走塁練習に力を入れてきた。「頭を使った走塁を意識している」と話すようにいやらしい1番打者として夏の大会を迎える。
大滝愛斗外野手(3年)は、広角に長打を打てる力強さと50メートルを6秒0の走力も魅力だ。入部後に約20キロ体重も増え、力強さは増した。昨夏は開幕戦で敗退と、よもやの結果となった。「夏は体重が減りやすいので意識して食べている。去年の悔しい思いを今年晴らしたい」とリベンジを誓った。
檜村篤史内野手(3年)は1年夏に甲子園を経験した大型ショート。遠投100メートルの強肩に加え、勝負強い打撃が光る。新チームから4番を担い、今春センバツ初戦の岡山理大付戦で通算8本、公式戦1号となる決勝3ランを放ち、44年ぶり勝利に貢献。自身3度目の甲子園へ「去年敗れた先輩の分まで、今年は春夏連続で甲子園に出たい」と力を込めた。
ナイジェリア人の父を持つオコエ瑠偉外野手(3年)は、走攻守3拍子そろうドラフト候補。5月の練習試合、コザ(沖縄)戦では、95メートル先に張られた約10メートルの左翼ネットを超える特大の場外弾を放った。内角直球をとらえた一打に、「内角は一番の課題。自信がつきました」と喜んだ。父ボニーさんから、サッカー選手になって欲しいと願いを込められ、ラモス瑠偉(FC岐阜監督)の「瑠偉」をもらった。それでも本人は野球一筋。高校野球が終わったら「1度行って、見てみたい」とナイジェリアを初めて訪ねる予定だ。
早実(西東京)の加藤雅樹捕手(3年)が、5年ぶりの甲子園に導く。圧倒的なパワーで高校通算46本塁打。50発を視界にとらえたが、気負いはない。プロ注目の主将は「春は50本を考えすぎて、調子を落としてしまった。目立ちたい気持ちは抑えて、つなぐ打撃をしたい」と頂点だけを見据えて最後の夏に臨む。
1年秋から4番に座り続ける。打球をとらえるポイントが近く、左打席から左中間を破る長打も多い。空振りが少ないのも特長で、相手バッテリーには脅威の存在だ。厳しいマークが予想されるが、3番には注目の1年生スラッガー・清宮幸太郎内野手が座る。加藤は「ランナーがいる状況で回ってくることが増えた」とニヤリ。打点を稼ぐ4番の仕事に徹するつもりだ。
下地滉太捕手(3年)は、二塁送球1秒8台と遠投100メートルを超える強肩が魅力。1年秋から正捕手としてマスクをかぶる。今春の県大会前に行った高崎健康福祉大高崎(群馬)との練習試合では「4盗塁全てを刺した」と自信を持った。中日山本昌投手(49)の弟である山本秀明監督(45)も「スローイングが正確」と太鼓判を押す。打撃でも5番打者として今春の県大会で打率5割超えをマークした。「チャンスでは集中力が増す」と20年ぶり甲子園を目指す。
平井練外野手(3年)は昨夏の甲子園で4番を務めた。今春の練習試合では推定飛距離140メートルの特大本塁打を放つなどボールを飛ばす力は本物だ。通算19本塁打を放ち、昨秋の県大会では、打率7割超えをマークするなど打撃センスが光る。「昨年は悔しくて(甲子園の)土を持って帰らなかった。今年はチームの目標の全国制覇をしたい」と雪辱を期す。
主将の安本竜二内野手(3年)のバットと言動に注目だ。ファーストストライクから強く振る積極的なスタイルで高校通算本塁打は13本(6月27日時点)。センバツ後に遊撃から三塁に移った。速い打球にも体を投げ出し、強肩でアウトに仕留める。センバツでは多くの取材に心を乱される場面もあったが、最後の夏に向けて精神的にタフになるきっかけにもなった。力強い前向きな言葉で仲間を鼓舞する。
船曳海(わたる)外野手(3年)は、選抜大会の1番から夏は5番を担う役割が濃厚だ。橋本武徳監督(70)を補佐する元近鉄の中村良二コーチ(47)は「春に比べ長打率、守備力の確実性が上がりました」と認める。潜在能力の高さにプロも注目する選手。船曳自身が「オリックス糸井さんのように走攻守そろった選手になるのが目標」と目指す理想に近づいている。
今秋ドラフト候補で通算95本塁打を誇るのが、初芝橋本(和歌山)の黒瀬健太捕手(3年)だ。すり足で打っていた1年時は16本だったが左足を上げる打法に変え、2年の1年間で56本を量産。昨年の練習試合で対戦した智弁学園(奈良)・岡本(巨人)の肩から上が動かない安定感のある打撃フォームも参考に、スイングを重ねてきた。「足の上げ方、タイミングの取り方を芝野監督に教えていただいて、飛距離が伸び、球をとらえる確実性も上がりました」。打てる捕手として期待される。
4番山本武白志(むさし)三塁手(3年)が昨夏甲子園で初戦敗退のリベンジに燃えている。「悔いが残る負け方だったのでもう1回甲子園に行って活躍したい」。元ロッテ監督の父功児氏(63)のDNAを受け継ぐプロ注目の強打者。昨年8月に就任した元プロの楠城徹監督(64)の指導もあり、通算本塁打は20本に達した。
※選手の評価を特A、A、B、Cの4段階で表示。
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