東北福祉大を日本一に導いた大塚監督の指導法とは

<全日本大学野球選手権:東北福祉大6-2国際武道大>◇17日◇決勝◇神宮

 元西武の大塚光二監督(50)率いる東北福祉大(仙台6大学)が国際武道大(千葉県)を6-2で下し、14年ぶり3度目の優勝を果たした。15年7月の就任時から貫いてきた自主性に委ねる指導法がついに実った。国際武道大は2年連続の準優勝に終わった。

 3度の胴上げで祝福された大塚監督は、試合後の会見で喜びを爆発させた。同校OBで、在学中は2度の準優勝に泣いた。西武で過ごした現役12年間で日本一3度を含む7度のリーグ優勝を経験していても、監督としての優勝の味は格別だった。

 大塚監督 プレーヤーの方が楽。自分で責任取れるので。今の方が1000倍ぐらいうれしい。

 母校に注入したのは「明るさ」と「自主性」だった。在学当時は新興校だったが、今や東北の名門校。「練習を見たら、勝たなきゃいけないという硬さがあった」。選手への声掛けを「うざがられる」ぐらい続け、意思疎通を図った。リーグ戦で負けた夜には選手と焼き肉で決起集会を開くこともあった。

 一方で元プロの技術指導を前面に押し出さず、型にはめない指導法を貫いた。この日の決勝打を含む3安打でMVPを獲得した1番吉田隼外野手(4年=国士舘)は打席内で四股を踏む独特な打法だが、フォームには一切触れなかった。吉田は「自分を尊重してくれて、伸び伸びやれた。打ち方を変えられていたら今の自分はない」と感謝した。

 昨秋は75季ぶりのリーグ3位に沈んだ。プロを経験しているからこそ、アマの厳しさも痛感していた。「プロは負けても次の日がある。アマは(リーグで)連敗すると全国にも行けない。同じ野球というスポーツでも1勝の重さは全然違う」。選手と同じ目線に立つことでチームの一体感を引き出し、選手の自主性に委ねることで、勝負どころでの爆発力を引き出してきた。大塚采配が、ついに全国で結実した。【高橋洋平】

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  • 国際武道大対東北福祉大 2回裏東北福祉大2死一、二塁、左前適時打を放つ吉田(撮影・垰建太)