【全日本大学選手権】プロ注目青学大・常広羽也斗が大学NO・1証明「やるなら完璧目指したい」
<全日本大学野球選手権:青学大4-0明大>◇11日◇決勝◇神宮
青学大(東都)が、05年以来18年ぶり5度目の優勝を飾った。今秋ドラフト1位候補の最速153キロ右腕、常広羽也斗投手(4年=大分舞鶴)が、9回を被安打7の10奪三振、126球で完封。4-0で明大(東京6大学)に勝った。
決勝が東都対東京6大学の対戦となったのは22度目。東都の8勝14敗となった。昨年優勝の亜大に続き、東都勢が連覇した。
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大学NO・1投手を証明する投球だった。「相手が誰ということよりも、自分の投球に集中した」。常広は下半身の捻転と軸を使い、上半身は力感なく腕を振った。
持ち味のアウトローの直球に、キレのあるフォーク。回転数の高い球を低めに制球し、この日の最速は151キロ。「つぶれてもいい。後悔しないように全力で。絶対に9回を投げきろうという気持ちでした」と、圧倒的な投球。優勝投手に輝き「想像もしていなかったことなので、うれしい」。ポーカーフェースを貫いたマウンドも、人生初の日本一に笑みがこぼれた。
1つ1つ積み重ねたマウンドだった。「最初はただ、ガムシャラに投げているだけだった」。青学大で中野真博コーチ(47)に出会い、体の使い方から学び成長。同じ腕の振りから球速差を生んで奥行きをつけ、打たれにくい直球を手に入れた。
小さいころは「飽き性」で、英語もピアノも習いごとは長く続かなかった少年が、野球と出会い、ルールも知らずに練習に通い、その楽しさに魅了された。「野球だけは楽しくて。毎日、壁当てが友達でした(笑い)」と生きがいにした。
青学大へは一般学生と同じく成績で決まる指定校推薦で入学。「中途半端はイヤ。やるなら完璧を目指したい」と、大好きな野球を突き詰め、全国の頂点に立った。「今日みたいに大事な試合で大事な場面を任せてもらえる選手になりたい」。常広の目は、まだまだ上を見つめている。【保坂淑子】
▽日本ハム大渕GM補佐兼スカウト部長(青学大・常広について) 間違いなくドラフト上位候補。直球も変化球もキレがいい。バランスがよく、力感のないフォームから、びゅっと放ってくる。楽天岸投手のようなイメージ。
◆常広羽也斗(つねひろ・はやと)2001年(平13)9月18日生まれ、大分県大分市出身。豊府小3年時に豊府少年野球団で投手として野球を始め、南大分中では大分シニアでプレー。大分舞鶴に進学し、1年夏からベンチ入り。3年夏は2回戦敗退。青学大では2年春、初登板。東都1部リーグ通算5勝1敗、防御率1・62。趣味はネットサーフィン。好きな食べ物はグミ。180センチ、73キロ。右投げ右打ち。
◆青学大野球部 大学創立から3年後の1951年(昭26)東都大学野球連盟に加盟。秋季リーグで3部優勝し2部昇格。72年春に2部優勝、入れ替え戦に勝利して初の1部昇格。2部降格と1部復帰を経て、87年に河原井正雄氏が監督就任。88年秋に1部初優勝。93年、全日本大学選手権初出場で初優勝。東都1部で通算13度の優勝。主なOBは元ソフトバンク小久保、元ロッテ井口、ヤクルト石川、オリックス杉本、レッドソックス吉田。部員数は49人で、今大会に出場した27校で最少。