七十七銀行・渋谷祐太郎「今日は絶対に抑えて」3回から登板、無失点も大舞台まであと1歩及ばず

  • 七十七銀行対日本製紙石巻 6回を3者凡退に抑えベンチに戻る七十七銀行・渋谷(撮影・木村有優)

<社会人野球日本選手権最終予選東北大会:日本製紙石巻7-2七十七銀行>◇9日◇決勝◇宮城・仙台市民球場

大舞台まであと1歩及ばなかった。七十七銀行(宮城)は2回に先制点を献上。3点ビハインドの3回から、渋谷祐太郎投手(24=石巻専大)にスイッチ。先頭打者に死球を与え、暴投や四球などで1死一、三塁のピンチを招くも無失点で切り抜けた。「地に足がついてないというか、力みすぎて…。でもあそこで0点に抑えられたので、そこからは落ち着いて投げられました」と、その後は7回途中まで1安打無失点に抑え込んだ。

絶対に失点できない理由があった。都市対抗野球第1次予選決勝、同最終予選東北大会第2代表決定戦で、いずれも先発して計10失点。チームも敗れ大舞台を逃した。「今日は絶対に抑えてやろう」。リベンジへの思いが、ふつふつと湧き上がっていた。

6月には肘のけがに見舞われた。2週間のノースロー期間を経て、先月中旬に復帰。だが、常時140キロ後半だった直球も、同前半まで落ち、本調子ではなかった。それでも不調ならではの投球を模索。「これまで、ストライクを取れなかったカーブやシンカーでカウントを整えられるように意識した」と、変化球の精度に重点を置いてきた。「本調子ではないながらも無失点で抑えられたのは良かった」と振り返った。

来季はさらに成長した姿で大舞台へと挑戦する。「今は不調の自分自身との戦いになってしまっているので、気持ちに余裕を持たせて、後ろで守っている野手を勇気づけられるような投手になりたい」と前を向いた。

宮城県出身の渋谷には、もうひとつ目標がある。高校時代は公式戦でも地区大会止まりが多い築館出身。今は社会人野球で主戦を担っている。「築館は言ってしまえば弱小高だった。そこから社会人でプレーすることはなかなかないことなので、上を目指したくても目指せない人に勇気を与えられるような選手になりたい」。この悔しさを決して忘れず、来季は「渋谷祐太郎」の名をとどろかせる。【木村有優】