サプライズ「石破総理からメッセージが」初優勝の大関琴桜が仰天 首相も祖父に続く横綱昇進期待
大相撲九州場所で初優勝した大関琴桜(27=佐渡ケ嶽)に、石破茂首相(67)から祝福メッセージが届いた。同場所千秋楽から一夜明けた25日、福岡市の部屋で会見。前夜に父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)に、首相から“直電”がかかってきて、琴桜宛てにはショートメールが届いたことが判明した。予想以上の初優勝の反響を力に変えて、来年1月の初場所(東京・両国国技館)で稀勢の里以来、8年ぶりとなる日本出身の新横綱を目指す。
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一夜明け会見の最後にサプライズが待っていた。司会を務めていた日本相撲協会広報部の職員から突如、スマートフォンを手渡された琴桜は、目を白黒させていた。何が起きているか分からない報道陣に向け、琴桜は「石破総理からメッセージが…」とポツリ。「自分で読むのも何か…」と苦笑しながらも、報道陣のリクエストに応じて文面を読み上げた。「琴桜関の栄えある優勝を心より、お喜び申し上げますとともに、今後ますますのご活躍をお祈り致しております。内閣総理大臣 石破茂」。突然の激励に、琴桜はこの日一番の困惑顔を見せていた。
鳥取県出身だった祖父で元横綱の先代琴桜の後援会長が、石破首相の父で元鳥取県知事の石破二朗氏(ともに故人)という縁でメッセージが届いた。サプライズを演出した“仕掛け人”は、協会の広報部長も務める佐渡ケ嶽親方だった。会見の様子を終始、横からいすに座って見ていた同親方が、会見が終わりそうなタイミングで、部下である司会者を呼んで自身のスマートフォンを渡し、琴桜に見せるように指示していた。
発端は前夜だった。千秋楽パーティー中に、佐渡ケ嶽親方のもとに知らない番号から突然、電話がかかってきた。同親方が出ると、まさかの石破首相からの直電。鳥取県では2代目の琴桜も根強い人気を誇り、支援団体関係者を通じて電話番号を知ったとみられる。佐渡ケ嶽親方は「背筋を伸ばして電話していた」と、祝福の言葉に耳を傾けた。さらに琴桜にも祝福の思いを伝えたい意向で、ショートメールが送られてきた。
琴桜は石破首相からの祝福に「ありがたいですね。本当にうれしく思います」と感謝した。首相も期待するのは祖父に続く横綱昇進。琴桜は「この世界に入った以上、先代に追いつくことが目標。そこに1つ、手を掛けられるような状態を自分でつくることができた。早く追いつきたい。もう、やるしかない」と力説。先代琴桜と“先代石破”のつながり以上の、横綱と首相として顔を合わせる日を目指していく。【高田文太】
◆鳥取県出身の主な著名人 初代琴桜(大相撲)、水木しげる(漫画家)、石破二朗、石破茂(政治家)、岡本喜八(映画監督)、中原誠(棋士)、沢田研二、川中美幸(歌手)、瀧本美織、松本若菜、山本舞香(俳優)、小野ヤスシ、宮川大助、イモトアヤコ、山根千佳(タレント)、米田哲也、川口和久、小林繁、角盈男、九里亜蓮(プロ野球)、武尊(格闘家)、入江聖奈(ボクシング)、山下佐知子、森下広一(マラソン)、三上紗也可(飛び込み)、川中香緒里(アーチェリー)(敬称略)
○…前日24日の千秋楽パーティー会場で、琴桜が手にしたタイが8キロ超の超大物だったことが判明した。幕内優勝力士がタイを持って写真撮影するのは毎場所の恒例。ただ今場所、琴桜が手にしていた“大きすぎるタイ”が、SNSを中心に話題になっていた。そんな中、佐渡ケ嶽親方が前夜のタイについて「8キロ超えです」と明かした。九州場所で、ちゃんこを作ってもらっている日本料理店の店主が、長年の付き合いなどを駆使して市場で買い付けたものだという。佐渡ケ嶽親方も「これだけ立派なタイは、なかなか手に入らない」と感謝していた。同じルートで16年1月の初場所には、当時大関の琴奨菊が幕内、当時は琴鎌谷のしこ名だった琴桜が序ノ口と、部屋から2人が同時優勝。その際は「奨菊が8キロのタイ、桜が8キロのヒラメだった」(佐渡ケ嶽親方)ことも、併せて明かしていた。
◆最近の横綱昇進 第73代横綱として照ノ富士が昇進したのが21年名古屋場所後。琴桜か豊昇龍が来年の初場所で条件をクリアすれば3年6カ月ぶりの横綱誕生となる。最後の日本人横綱誕生は稀勢の里で17年初場所後に昇進。琴桜が初場所で好成績を挙げて昇進を決めれば、ちょうど8年ぶりとなる。横綱審議委員会(横審)の内規では、横綱昇進を推薦する条件として「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」と定められている。