来年1月発表のアカデミー賞ノミネートが確実視されている作品を紹介
12月に入ったハリウッドは、来年3月2日に開催されるアカデミー賞授賞式に向けて賞レースが本格化しています。9日にはゴールデングローブ賞のノミネーションが発表され、12日にはクリティック・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)のノミネート発表も控えていますが、来年1月17日に発表されるアカデミー賞にノミネートされることが確実視されている作品を紹介します。
「ウィキッド ふたりの魔女」
ブロードウェーミュージカルを原作とした「ウィキッド ふたりの魔女」は、今後の賞レースをけん引する作品になるとみられています。すでに4日に発表されたナショナル・ボード・オブ・レビュー賞では、作品賞、監督賞(ジョン・M・チュウ監督)、スポットライト賞(アリアナ・グランデ&シンシア・エリヴォ)の3冠を達成し、翌5日に発表された米映画協会(AFI)が毎年選ぶ今年の映画ベスト10にも名を連ねています。
また、ゴールデングローブ賞では、ミュージカル・コメディー部門の作品賞やエリヴォの主演女優賞、グランデの助演女優賞など4部門に選出されています。
「ANORA アノーラ」
ロシア系アメリカ人の若きストリップダンサー、アノーラのシンデレラストーリーを21世紀風にリアルに描き、カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したショーン・ベイカー監督の「ANORA アノーラ」は、ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディー部門の作品賞や監督賞など5部門に選出。AFIのベスト10はもちろん、授賞式の幕開けとなるゴッサム・アワードでは無冠に終わったものの、作品賞を含む最多4部門で候補入りしています。
「エミリア・ぺレス」
メキシコの麻薬カルテルのボスが、弁護士の力を借りて「女性」として生まれ変わる異色のミュージカル・クライムドラマ「エミリア・ぺレス」は、カンヌ国際映画祭では審査員賞を受賞。また、ゾーイ・サルダナ、セレーナ・ゴメス、アドリアナ・パズ、カーラ・ソフィア・ガスコンの4人が、女優賞を受賞した話題作でもあり、ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディー部門の作品賞や監督賞(ジャック・オーディアール監督)、ガスコンの主演女優賞、ゴメスとサルダナの助演女優賞など最多10部門にノミネートを果たしています。
「教皇選挙」
2023年のアカデミー賞で4部門にノミネートされ驚異の快進撃を見せた「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督の新作「教皇選挙」は、ゴールデングローブ賞で作品賞や監督賞、イザベラ・ロッセリーニの助演女優賞など4部門にノミネートされています。トロント国際映画祭で絶賛された同作は、新ローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ」の内幕を描く英米合作のスリラーで、AFIとナショナル・ボード・オブ・レビューでもトップ10に名を連ねています。
「ブルータリスト」
第2次世界大戦下のホロコーストを生き延びて米国に渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家のその後の半生を描いた「ブルータリスト」は、ニューヨーク映画批評家協会賞で作品賞と主演男優賞(エイドリアン・ボロディ)にノミネート。さらにゴールデングローブ賞では、ドラマ部門の作品賞、監督賞(ブラディ・コーベット監督)、主演男優賞など7部門に名を連ねています。
【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)
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◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 1972年札幌生まれ。92年に渡米。96年に日刊スポーツ新聞社アトランタ支局でアトランタ五輪取材をアシスタント。99年6月からロサンゼルスを拠点にハリウッドスターのインタビューや映画情報を取材中。