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将棋界の「忍者ハットリくん」 藤井聡太7冠を上回る勝率8割8分0厘に“M-1挑戦効果”

「新人王」の優勝後、インタビューに応じる服部慎一郎六段(撮影・松浦隆司)
「新人王」の優勝後、インタビューに応じる服部慎一郎六段(撮影・松浦隆司)

本年度、藤井聡太7冠(22)の勝率7割5分0厘(21勝7敗)を大きく上回る勝率をマークしている若手棋士がいます。名前から「忍者」の異名があり、棋士仲間からは親しみを込めて「ハットリ君」と呼ばれている服部慎一郎六段(25)です。勝率8割8分0厘(22勝3敗)。好調の要因の1つに、漫才日本一を決める「M-1グランプリ」の挑戦があったようです。

先日、大阪市の関西将棋会館で行われ第55期新人王戦決勝3番勝負第2局を制し、3番勝負を2勝0敗とし、「新人王」に輝きました。

終局後、「今期の新人王戦は決勝3番勝負に来るまでも厳しい戦いが続いたので、優勝という結果を出せたのはすごくうれしい」と喜びを口にしました。

今夏、服部六段は冨田誠也五段とのコンビ名「もぐら兄弟」で、「M-1グランプリ」1回戦に挑戦しました。将棋界からはM-1への参戦は初めて。無念の1回戦敗退でしたが、収穫もありました。漫才のネタ合わせの時間をつくるため、将棋への取り組みにメリハリができました。

一方で「何やってんだ」の厳しい声もあり、本業の将棋で負けられないプレッシャーもあったといいます。

新人王は第53期以来、2度目の優勝でした。

「漫才をやっていて将棋に負けていたら、周りからもいろんな意見があると思う。盤の前に座ったときは勝たなければいけないという気持ちになっていた」

11月2日時点で22勝3敗(未放映のテレビ対局を除く)。勝率8割8分0厘は全棋士中1位です。9割近い勝率は驚異的です。

「一局一局の積み重ねで丁寧にと思っている。昨年度7割いかなかった。本年度は勝率にこだわりたいと思っていた」

富山県出身の25歳は今年がデビュー5年目。今後の目標は明確です。「まだタイトル戦に出られていない。タイトル戦出場を目指して頑張りたい」。

元日の能登半島地震から復興の兆しがようやく見えてきた中で、9月に記録的な豪雨が能登半島を襲いました。

「地元にタイトルを、と思っています。将棋を指すことで喜んでもらえたら」

「ハットリ君」が、被災地を「笑顔」にします。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

 ◆村上久美子(むらかみ・くみこ) 大阪(泉州)生まれ。91年入社。関西の芸能社会を中心に取材。吉本興業、宝塚歌劇、短期間ながら阪神タイガースと、関西発の3大ホットコーナーをはじめ、NMB48まで、取材歴は20年以上。

 ◆松浦隆司(まつうら・たかし) 大阪生まれ。92年入社。関西を中心にスポーツ紙の社会面担当としてエロから政治まで、ダークサイドも含め取材歴は20年以上。和歌山毒物カレー事件、橋下徹前大阪市長は茶髪弁護士時代から取材。

 ◆三宅敏(みやけ・さとし) 大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。11年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、22年から記者として復帰。演芸(お笑い)を中心に取材。好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。

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