ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ~

 関西の芸能や社会全般の時事ネタの裏、もしくは秘話ネタ、ちょっといい話などをナニワのベテラン記者がお届けします。

お笑い芸人が本気で町おこし 自然豊かな兵庫県市川町で「女と男」奮闘中

ファンとともに市川町を訪れ、ウオーキングなどを楽しんだ女と男の市川
ファンとともに市川町を訪れ、ウオーキングなどを楽しんだ女と男の市川

11月早々、「寛平マラソンウオークin市川町」に参加してきた。今年も12月に開催される「寛平マラソン」のスピンオフイベントで、漫才コンビ「女と男」と一緒に兵庫県市川町までバスで行き、現地でウオーキングとバーベキューを楽しもうという企画。当日は雨予報で「こんな天気でウオーキングって大丈夫?」と不安を抱いたまま、約50人が大阪を出発した。

高速に乗って、市川町まで1時間半。バスにはミサイルマン西代、span!、らいおんうどんらゲストの芸人も乗り込み、にぎやかなトークで参加者を盛り上げた。やがて自然豊かな市川町に到着したが、やはり大雨。その名も市川という名の川が流れており、ホストの市川(女と男)が「地元の人や観光客を癒やしてくれる清流です」と説明するも、西代が「どこが清流や? 濁流やないか!」とツッコむほどだった。

空模様を見て「この雨の中、歩くのはやはり不安」と、スケジュールを急きょ変更。ウオーキングよりも先にバーベキューを楽しむことになった。これが大正解。地元から差し入れてもらった牛肉をたらふく食べるうちに雨があがったではないか。

緑豊かな山に囲まれ、空気はうまい。温泉もある。「自然が素晴らしいんです」(市川)という現地の魅力がよくわかった。参加者は足取りも軽く、笑顔でウオーキングを満喫していた。

そもそも、このイベントは「女と男」が市川町の「ふるさと市川PR大使」を務めていることから始まった。女と男は、ワダちゃん(42)市川(44)の2人で2003年(平15)にコンビ結成。当初は「男と女」というコンビ名だったが、吉本のレジェンド笑福亭仁鶴さんに「これからは女性の時代。女と男に名前を変えた方がいい」とアドバイスされ、改名した。

その後は漫才やテレビ・ラジオでコツコツと実績を積んできた。17年、市川町の「ふるさと市川PR大使」に就任したが、2人とも同町の出身ではない。「市川」という名前が縁となった。

その市川といえば「資格芸人」としても売り出し中。家電製品総合アドバイザー、ラグビーC級レフェリー、温泉ソムリエ、国内旅程管理主任者など多岐にわたる資格を取得しており、その詳細は著書「『地味な資格』だけで人生は豊かになる」で明らかにしている。要するに幅広く好奇心を持ち、何かに興味を抱いたらコツコツ努力する勉強家なのだ。

だから、市川町の大使としても名前だけでなく、マラソン大会や成人式など地元のイベントには積極的に参加。さらに同町にある空き家を100万円で購入し「市川ハウス」として活用している。

自治体の観光大使やPR大使という肩書を持つ芸能人は少なくない。だが、市川町と女と男の関係は、その結びつきの強さでは一、二を争う。市川の口からは、市川町への愛、地元の細かいお店情報などもすらすらと出てきた。

「町おこし」「村おこし」と口にするのは簡単だが、行動に移すのは楽じゃない。今回は市川町の関係者も全面協力してくれ「美味(おい)しい、楽しい、リフレッシュ」の3拍子そろったイベントとなった。テレビや舞台だけじゃない。市川町のために本気になれる女と男は、いっそう応援したくなった。【三宅 敏】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミへキタへ~」)

ファンとともに市川町を訪れ、ウオーキングなどを楽しんだ女と男の市川
ファンとともに市川町を訪れ、ウオーキングなどを楽しんだ女と男の市川

 ◆村上久美子(むらかみ・くみこ) 大阪(泉州)生まれ。91年入社。関西の芸能社会を中心に取材。吉本興業、宝塚歌劇、短期間ながら阪神タイガースと、関西発の3大ホットコーナーをはじめ、NMB48まで、取材歴は20年以上。

 ◆松浦隆司(まつうら・たかし) 大阪生まれ。92年入社。関西を中心にスポーツ紙の社会面担当としてエロから政治まで、ダークサイドも含め取材歴は20年以上。和歌山毒物カレー事件、橋下徹前大阪市長は茶髪弁護士時代から取材。

 ◆三宅敏(みやけ・さとし) 大阪市生まれ。1981年に日刊スポーツ入社。主に芸能ニュース、社会ニュースの記者・デスクを務める。11年に早期退職制度で退社。その後は遊んで暮らしていたが、22年から記者として復帰。演芸(お笑い)を中心に取材。好きなものは猫、サッカー、麻雀、ゴルフ。身長171センチ。

おすすめ情報PR

芸能ニュースランキング