宝塚 ~ 朗らかに

星組トップ礼真琴 退団会見で宝塚への思い「唯一無二の場所。無心に走り、まさに青春そのもの」

退団会見を行う礼真琴(撮影・石井愛子)
退団会見を行う礼真琴(撮影・石井愛子)

来年8月10日付で退団する星組トップ礼真琴が、9月24日に大阪市内で会見した。19年に星組トップに就き、本拠地お披露目公演の最中、コロナ禍に見舞われ「再びお客さまとふれあえる状況になった時、110周年をまっとうして卒業したいとの思いが強まった」と経緯を説明した。

トップ娘役舞空瞳の退団公演は、同22日兵庫・宝塚大劇場で千秋楽。本拠地から送り出した後、自らの進退を明らかにした。

歌、ダンス、芝居…高レベルで3拍子そろい、95期の首席入団。同期には前花組トップ柚香光、前月組トップ月城かなと、次期雪組トップ朝美絢らがおり「残せるものはすべて、朝美に」と笑い、絆の固さも。

宝塚は「唯一無二の存在。青春の全てをかけ、無心に走ってきた」と言い、後輩に「最後まで、背中を追いたいと思ってくれるような存在でいたい」と誓った。サヨナラ公演は来年4月に宝塚大劇場で開幕する「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」。劇団☆新感線と初コラボ作の東京千秋楽で退団する。【村上久美子】

■一問一答

-退団を決めた経緯は

 「卒業」を決意した瞬間に実感がなく、主演(トップ)という立場に就任させていただいてから、つねに自分の中で卒業という言葉は頭の中にありました。でも、お披露目公演の途中でコロナ禍に。今やっと、お客さまとふれあえる舞台に立たせていただける。公演を完走できる状況になった時に、今までどれだけ自分ががむしゃらに走ってきたかということを振り返りますと、宝塚歌劇110周年、記念すべき年を自分なりにまっとうしてから、卒業したいという思いに自然に変わっていきました。

-(9月22日に星組宝塚大劇場公演の)千秋楽がありましたが、組子にはどのような形で伝え、反応は

 公演の前楽(千秋楽前日)に、星組の仲間たちには伝えさせていただきましたが、すでに、次回の武道館コンサートの発表もあり、みな、楽屋に集まってくれた時も、それぞれが覚悟した状態といいますか。静かに、真剣にかみしめるように聞いてくれました。

-相手娘役の舞空瞳には

 彼女自身の退団公演でもあり、この公演のお稽古が始まってすぐくらいに。お互い卒業に向けて、今自分たちが何ができるか-など、2人でたくさん話しました。2人で決めたゴールがこれで良かったと思っていただけるように。

-就任6年近い任期に

 (コロナ禍で)心が折れそうな瞬間もありましたが、星組の仲間たちが力強く背中を押してくれたおかげで、前を向いて進めた。エネルギーにあふれた出会い、別れを繰り返し、作品に挑戦できた。ひとつひとつ、自分の財産に。

-スカーレットをはじめ、女役も複数経験。振り返っての思い出は

 舞台に立ってパフォーマンスをするのが一番の幸せでしたので、当時は男役だろうが女役だろうが、舞台で輝けるなら-という思いでした。でも学年を重ね、男役への憧れや愛情というものが強まりまして、男役への欲も同時に。

-柚香さん、月城さん、朝美さんら同期への思いは

 同期って存在は、ほんとに不思議で。家族より一緒にいる時間が長い学校生活を過ごし、劇団に入って、それぞれ別れてしまっても、離れている気がしない。学年を重ね、責任のある立場を担うようになって、同じ立場だからこそ、分かり合えることもあり、助けられた。2人(柚香、月城)の卒業を見送らせていただき、その次に主演という立場が決まっている朝美に、残せるものは全てを。

-直接伝えた?

 (柚香、月城が)やめる時にも直接電話をもらったので、個人的に、2人には連絡させてもらいました。すでに退団して、外の世界で活躍している大切な同期もたくさんいる中で、95期でよかったなと、何回思ったか分からない。尊敬する同期がたくさんいて、(宝塚音楽)学校の時から、同期内でのライバル心というものが多分、そんなになかったとも。みんなで楽しく仕事に取り組むという…。今こうしてそれぞれ活躍している姿を見ると、本当に誇りに思います。

-昨年、休養期間を設けた

 1度、舞台からは離れ、今、どれだけありがたい状況をいただいているのか、どれだけ心強い頼もしい仲間たちと舞台に立っていたのか、改めて感じました。皆がびっくりするぐらいパワーアップして戻らなければ、と。はい。

-下級生時代から注目され、期待の高さをどう受け止めたか

 歌もダンスも大好きだという思いがあっても、上級生の中に交ざると、1人足を引っ張ってしまっている。がむしゃらに、皆さまから期待をいただいた分、お返ししなければという。実力も経験も伴ってない中で、猪突(ちょとつ)猛進に。昔の自分に「そんなにやけになって、やらなくていいよ」と言いたい。

-下級生時代、思い出すことは

 再演で宝塚大劇場では初演となった「ロミオとジュリエット」(13年)に、5年目で(主要キャストの)ヘンヴォーリオという役に挑戦させていただいた時、手も足も出ない状況になり、小池(修一郎)先生を悩ませ、主演の柚希(礼音、当時星組トップ)さんにもご迷惑をおかけしたんですけれども、公演を重ねて最後、自分なりにもふに落ちて「これだ」っていう思いに出合えました。

-多くの後輩から目標に

 世界中どこを探してもない唯一無二の場所。大好きだった星組に配属され、無心に走り、まさに青春そのもの。少しでも多くのことを伝えていけたらいいなと思いますし、最後の最後まで、この背中を追い続けたいと思ってくれるような存在でいられるように。

-ファンへ

 どんな時も、何があっても見捨てず、私を信じてついてきてくれたファンの皆さまには、感謝しかありません。おいしい物を食べに連れて行ってあげたいぐらい(笑い)。最後の最後まで私らしく体力と筋肉を使って、すべてを注いでまいります。

退団会見でポーズをとる礼真琴(撮影・石井愛子)
退団会見でポーズをとる礼真琴(撮影・石井愛子)

夢の舞台を創り続けて100年あまり。時代とともにスターを生み、話題作を手掛けてきた宝塚歌劇団。華やかなステージを作り続ける裏側で日々、厳しいけいこと競争の中で切磋琢磨を続けている夕カラジェンヌの横顔を伝えます。

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