主演女優賞は松嶋菜々子/日刊ドラマGP

<第15回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 第15回日刊スポーツドラマグランプリの2011年度主演女優賞に輝いたのは、国民的人気を獲得した連続ドラマ「家政婦のミタ」(日本テレビ系)に主演した女優松嶋菜々子(38)だった。セリフなし、無表情に近い演技で、視聴者を引きつけて、最終回を平均視聴率40・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)という大記録に導いた。文字通り、演技力でつかんだ初受賞を松嶋は“しっとり”と喜んだ。

 松嶋は独特な言葉で喜びを表現した。「やっぱり、トロフィーはうれしいものですね。20代にいただいた時はバタバタしていて、今は“しっとり”と喜びを実感しています」。作品を一大ブームにまで押し上げながら、ブレない。浮つかない。「しっとり」は、30代の今の松嶋だからこそ、表現できる感想だった。

 デビューから20年。松嶋の長いキャリアでも見せたことのなかった演技が、視聴者には新鮮だった。

 「演技を大きくするのは簡単ですが、今回は全11話を見据えて、表現を抑えながら、毎回どのくらいずつ出していくのかとバランスを取るのが難しかったんです」

 無口で無表情な家政婦役。最初は、まばたき1つで、感情表現するところからスタートした。中盤で衝撃的な過去を告白した後も、考え抜いて演じた。

 「一気に感情表現をやり過ぎ始めると、三田が弱くみえる。本当に訴えたいときだけに、相手の目を見るとか、ほんのわずかな違いだけで、感情を見せていこうとしていました」

 視聴率がうなぎ上りとなったのは、視聴者が松嶋に見事に引き込まれていった結果だ。20代で“国民的美人女優”と呼ばれた松嶋の演技が、熟練の域に入った証しでもあった。

 ドラマ低視聴率時代と言われる昨今で、「家政婦のミタ」は、いま1度、ドラマの面白さや影響力の大きさを証明した。松嶋自身も、ドラマが好きという。

 「最終地点を考えながら、1話、2話、3話と回を重ねていく、テレビドラマが大好きな理由です」

 国内では、ドラマよりも映画・舞台を重視する発言の俳優が目立つが、松嶋は、連ドラの魅力を誰よりも分かっていた。20代から主演ドラマを軒並みヒットさせ“視聴率女王”と呼ばれ続けてきたのも納得。ドラマ界にとっては、どこまでも頼もしい存在だ。【瀬津真也】

 ◆松嶋菜々子(まつしま・ななこ)1973年(昭48)10月13日、神奈川県生まれ。92年にドラマ「社長になった若大将」で女優デビュー。96年NHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに。主な出演作は「GTO」「救命病棟24時」「魔女の条件」「氷の世界」「やまとなでしこ」「美女か野獣」。02年NHK大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語~」にも主演。172センチ。A型。

 ◆家政婦のミタ

 松嶋菜々子が主演し、日本テレビ系で11年10月期に放送され、最終回で21世紀のドラマとしては最高の40・0%の驚異的な視聴率を記録。無表情で命令されれば平気で犯罪行為も行う家政婦三田灯(松嶋)が、崩壊寸前だった家族を再生する作品。

 ◆ドラマグランプリ

 3月23日から30日まで日刊スポーツのホームページ「ニッカンスポーツ・コム(PC版、スマホ版)」と携帯サイト「ニッカン芸能!」、宅配読者の携帯会員サイト「ニッカンポイントクラブ」で、昨年4月から今年3月までに放送された連続ドラマを対象に、主演女優賞、主演男優賞、助演女優賞、助演男優賞、作品賞を選ぶアンケートを実施。各期(4、7、10、1月)ごとのベスト5、各部門計20人(作品)を候補とした。投票総数は5856票。男女別では男性が1207票、女性が4649票、世代別では10代以下が391票、20代713票、30代986票、40代2138票、50代1309票、60代以上が319票だった。

 

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