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ハリスかトランプか 開票進む米大統領選 獲得票数では決まらない…その仕組みを解説

5日に投開票が行われるアメリカの大統領選挙。初の女性大統領誕生が期待される民主党候補のカマラ・ハリス副大統領と返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領が、互角の大接戦を繰り広げています。これから4年間、アメリカのトップとなる大統領を決める選挙を前に、複雑そうに見えるその仕組みを簡単に紹介します。

●選挙は4年に1度

アメリカの大統領選は、4年に1度行われます。投票日は、11月の第1月曜日の翌日の火曜日と連邦法で定められています。そのため、今年は5日が投票日となります。

●投票権は18歳以上、選挙登録が必要

投票日に18歳以上のアメリカ合衆国民が、投票することができます。一方、日本のように18歳になったら自動的に投票ができるわけではありません。投票するには、自身が住んでいる州の選挙管理委員会に申請をし、選挙人名簿に名前をのせてもらう必要があります。そのため、選挙が近づくと「有権者登録をするように」とハリウッドセレブらがSNSで呼びかけているのです。

公園に設置された投票箱には英語以外にもスペイン語や韓国語、アラビア語まで多言語で説明が書かれています-
公園に設置された投票箱には英語以外にもスペイン語や韓国語、アラビア語まで多言語で説明が書かれています-

●郵便投票も可能

投票や有権者登録の方法は州や地方の管轄地区によっても異なりますが、投票日に投票所に出向かなくても、郵送で投票することができます。コロナ禍だった4年前の選挙では、密を避けるため郵便投票が急増しました。

有権者は、自宅に郵送されてきた投票用紙に記載されている候補者を選んで印をつけて返送すれば終わりなので、時間の節約にもなってとても便利です。また、カリフォルニア州では投票日の数週間前から公園やモールなど公共の場に投票箱が設置され、24時間好きな時に投函して投票することもできます。

●もっとも票を獲得した候補が勝つとは限らない

有権者は、トランプ氏かハリス氏か選択して一票を投じるわけですが、実際には全米で集まった票の集計で大統領が決まるわけではありません。州ごとに集計が行われ、過半数の票を得た候補者がその州に割り当てられた選挙人の票を獲得することで大統領が決まります。

●選挙の仕組み

50州とコロンビア特別区(ワシントンDC)は、それぞれの人口に応じて選挙人が割り当てられています。選挙人の数は538人で、大統領になるには過半数の270人を獲得する必要があります。例外となる2州を除き、すべての州で有権者投票で過半数の票を獲得した候補が、その州に割り当てられた選挙人の票をすべて獲得することができます。

そのため、実際にはより多く票を獲得した候補が、選挙人の数で負けることもあります。8年前の選挙では、民主党のクリントン氏が、トランプ氏よりも200万票以上多く票を獲得しながらも、選挙人の数で敗れるという結果になりました。

選挙人の人数が最も多いのは、カリフォルニアの54人で、テキサスの40人、フロリダの30人、ニューヨークの28人と続きます。逆にもっとも少ない州はノースダコタやアラスカなどの3人です。

投票日前日4日にCNNが発表した結果予想 赤が共和党、青が民主党、黄色が激戦州です
投票日前日4日にCNNが発表した結果予想 赤が共和党、青が民主党、黄色が激戦州です

●激戦州が勝敗を決める

歴史的並びに世論調査からも両候補が盤石とされる全ての州でそれぞれが勝利した場合、ハリス氏がわずかにトランプ氏をリードする選挙人を獲得すると見られています。そのため、結果を左右するのが残る「激戦州」とされるペンシルベニア、ミシガン、ノースカロライナ、ジョージア、アリゾナ、ネバダ、ウィスコンシンの7州の行方だといわれています。その中でも19人の選挙人が割り当てられているペンシルベニアはもっとも重要視されており、落とせないハリス氏は投票日前夜の集会会場に選んでいます。

●結果が判明するまで数日要する可能性も

投票日当日の深夜から翌日未明にかけて勝敗が判明することが多い大統領選ですが、激戦州で郵便投票の開票作業に時間がかかることも予想され、結果が判明するまで数日を要する可能性も取りざたされています。4年前の選挙でも、バイデン大統領に当確が出るまで4日間かかっており、今回も同様のことが起こるかもしれません。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)

◆千歳香奈子(ちとせ・かなこ) 北海道・札幌出身。日刊スポーツ通信員。92年渡米。99年からロサンゼルスを拠点に活動中。「ハリウッドスターのお気に入りは?」「LAの観光地や各種ショップを紹介」「トレンドあれこれ情報」をお伝えしています。米西海岸のウラもオモテもお任せください。

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